8月22日付の毎日新聞に、裏千家前

  家元である千玄室さんの記事が

  ありました。


  98歳になった今も聞こえる。しかも

  言葉一つずつが鮮明に。

  「お前に任せたぞと死んだ仲間の声が

  聞こえるのです」


  千玄室さんは、特攻隊で生き残った

  一人です。死と背中合わせだった

  海軍での経験から、茶の精神を通して

  争いのない世界の実現のために世界を

  回っています。


  1923年、千利休から数えて14代

  家元の長男として生まれました。

  軍は家柄に容赦なく、43年、徴兵

  検査に合格した千さんは海軍に

  入隊することになります。

  仲間の多くは基地から飛び立って

  行きました。覚悟を決めていた千さん

  でしたが、出撃することなく終戦を

  迎えます。


  「和敬清寂」わけいせいじゃく

  とは茶道の真髄となる精神のこと。

  互いに勧め合う(和)

  身分に関係なく尊敬し合う(敬)

  清らかな気持ちを持つ(清)

  そして動じない(寂)


  この言葉が、茶を通して平和を願う

  千さんを支えています。


  「一歩茶室に入れば身分の上下は

  関係ありません。武士も帯刀を

  許されない。茶を通して利休が教えた

  一番大事なことは、相手を思いやる心

  そして、いたわり合う心です。

  それを失った究極が戦争でした。

  思いやる心がなければ、今大きな問題

  となっている地球環境も駄目になる。

  その時が遠くないように思えて、

  とても心配なのです。」


  「和敬清寂」

  日本の心か詰まった美しい言葉だと

  思いました。先人が残した言葉に

  込められた想いを、今の日本は

  忘れかけてはいないでしょうか。


  恒例行事であるかのように、

  8月にだけ戦争や平和について

  考えるのではなく、普段から

  この言葉を心に留めて、少しずつ

  歴史も学んでいこうと思います。