今日読み終えた本です。


 初めてこの本を見かけたのは、
 箱根本箱というホテルです。

 

 その時は興味を持ったものの、読むこと
 もなく本棚に戻しました。

 次に見かけたのは〝100分で名著〟という
 番組で、3回目は小さな本屋さん。

 これはご縁かなと思って、
 読み始めました爆笑

 岸政彦さんは、個人の生活史の語りを
 ひとりずつ聞き取るスタイルで、調査を
 している社会学者です。主なフィールドは
 沖縄や被差別部落。

 この本は、岸さんが聞き取り調査の
 現場で、又は日常生活の中で起きた
 「分析も解釈もできない無意味な断片」
 について書かれています。

 表紙からもわかるように、キラキラした
 エピソードではありません。

 どちらかといえば、マイノリティの方たち
 のエピソード、それら一つ一つに
 丁寧に向き合っています。

 簡単に枠にはめることもなく、答えを
 出すこともなく、それらは私の手に
 ポンと置かれたような感じがします。

 「私たちはそれぞれ、断片的で不充分な
 自己のなかに閉じこめられ、自分が
 感じることがほんとうに正しいかどうか
 確信が持てないまま、それでもやはり
 他者や社会に対して働きかけていく。
 それが届くかどうかもわからないまま、
 果てしなく瓶詰めの言葉を海に
 流していく」

 私たちは他者に向き合うと同時に
 常に自己とも向き合う必要があるのだと
 改めて思いました。