*今年のニースJAZZフェスに行って日記を書く前、ちょっと前回 一昨年に行った時の復習です。当時書いた日記をそのまんまで
まだ二年前だが当時はセウジョルジのことをまったく知らなかったと考えると遠い昔のような気がする。
先日のビリープレストンと同じく、この日のメインのトリだったアリ・ファクトゥーレも亡くなってしまった。
本当にヤバイステージだっただけに残念
2005年7月25日
朝の一走り。そいで近所でクロワッサン買って帰って朝飯食べる。
今日はカンヌへ。バスで行くとけっこう時間かかる。2時間弱かけていろんな町に止まりながら、なつかしのアンティーブやジョアンにも停まりながら、その先のカンヌへ。
カンヌといえば映画祭。その会場パレフェスティバル、その前の手形があるとこ…まあねただのホールなんで、見た目パシフィコとかとそんなかわりゃせんわな。ただ海沿いのカールトンホテルとかある通りは凄いね。もうリッチね。はいはいわかりました、ってくらいリッチね。不動産屋とかこれ見よがしに豪華別荘の写真と値段飾ってるじゃん。本当に買うのかよ?って、観光客驚かすために貼ってるだけじゃないの?とか思ってしまうよ。
モンテネグロ行ったときより、もっとストレートに豪華ぽく感じたんだけど。いやあっちもやばかったしね。もうそれ以上ないから、散歩するだけして帰ってきたよ。
帰りは電車、40分くらいでニースに着いた。二階建ての電車で「コレのっていいのか?」と思ったけど普通電車で、なかなかきれいな電車に快適に戻る。
帰りフナックでこないだ気に入ったFEISTのCDを買う。フランスはマジCD高い、HMVとかで欧州盤が3000円近くすんのも吹っかけてるわけじゃなくて、ほんとうに20ユーロ以上するんだよね。でもこの人、欧州盤が出てないのか、アメリカ盤で9ユーロの普通価格ってんで買っといた。他気になった人はあとで日本帰ってamazonへ。
もどって今日はなんか身体も疲れてきてるから、スーパーで惣菜買って昼食にして、午後は海にも行かずに、部屋でのんびり過ごす。
5時にブルービーチへ、今日はジプシーギターの人。それがなかなかはじまらない、けっきょく30分押しの6時ごろにギター持ったおっさんが現れて演奏開始。うめええ!チョーうめえ。30分近く演奏する。待たされていたお客さんも、終わったときにはスタンディングで拍手。 でもこの人たち、7時から本ステージ出演なのに大丈夫かしら? そいで俺も急いでマセナ広場に行って、バスで会場へ。
今日明日はかなりワールドミュージック色が強くなる。まあフランスの歌だってワールドミュージックだし、日本の音楽だってワールドミュージックだ。べつに民謡とかってわけじゃなくて、その地のポピュラーミュージックだからね。だからサザンだろうが、モーニング娘。だろうが、オレンジレンジだろうが、他国の人からしたらワールドミュージックなわけで、ただブラジルとかアフリカとかだとその地特有のリズムがあって、そこと合わさるからよりワールドミュージックぽくみえるわけで。それじゃ日本はなに?ってなると、今のところリズムや楽器というよりもアニメやゲームの国という認識が強いみたい。だから他所の国で売ろうとすると、どうしてもそういうイメージが着いてしまう、まあパフィーなんかはそのへんで上手くやれてるけど。
まあそんなのはいいとして、メイン一発目、Seu Jorge。ブラジルのサンバを基にしたバンドで、これはなかなか熱くてかっこいい。パーカッションはサンバ系、ボーカルもラップというより早口で煽るスタイルで、これが相乗効果でがんがん盛り上げる。バラードもサンバ系のほうが熱くていい、今のブラジルの若手でかなりいいバンドじゃないかと思うのだが。
次がORISHAS。これはキューバ。今年一番の注目かも(っていうか毎日書いてるか)。サルサにHIPHOPを合わせたスタイルなんだけど。そのサルサもブエナビスタソシアルクラブみたいな素朴な古い感じのサルサを土台にしてそこにDJとラップが入って煽っていく。もちろんサルサ歌うボーカルもいる。現在のサルサだともっと複雑になっているけど、こういう古い基本的なものを使うことで、HIPHOPと融合させやすいんだろうな。サルサだけでも踊りやすく、そして叙情的なところを、その刺激の部分を今風にHIPHOPで補完しているというか、誰もが考えるんだろうけど、このレベルでやられると本当に楽しい。このバンドは注目!
とメインがブラジル(サンバ)、キューバ(サルサ)に今風のミクスチャしたバンドが続いて、わかりやすいラインなのだがサブは2組(通常3組)でさきのジプシーギターがかなり長い時間やっている。一組ということでなく、入れ替わりながらやっているよう。メインのセットチェンジの間に見たのだが、どれもとても上手い。こっちにジプシーギターのイメージが変わるくらいうまい。そりゃどのジャンルでもそうだが、単純に技術的にいえば平均はあがっていくのが当たり前なのだな。いつまでもジャコラインハルトではないわけで、もちろんそれが表現として高まっているかというのはまた別だが、これだけ上手くて、jazz的な要素も入ったりしてこれは本当に素晴らしい。このスイング感というのはjazzのスイングとまた違って、独特の気持ちよさがある。いつまででも聞いていたくなる。
そしてサブのメインはアラバマブラインドボーイズ。老舗のゴスペルグループながら、かなり斬新モダンでかっこいいアルバムを出して注目のグループ。ロック的な要素やかなりオルタナティブな要素を強く打ち出していたので注目だったのだが、これがサブの会場に入りきれないほどのお客さんが詰め掛けて、夕飯食ってのんびり観にいった俺など、ほとんど姿を見ることもできないほど。そのアルバムはベンハーパーが参加していて、ライブでもよく共演しているけど、この日どうだったかは不明。だってステージ見えないんだもん。たしかにメインステージがアフリカのブルースマンことAli Farka Toureでやや客を選ぶかなとういこともあり、サブ会場としては異例なほどの入り。しかし音だけ聞く限りでも、とてもカッコいい。もともと肉声の強み、インパクトが強すぎるくらい強いので、そこにサウンドを今様にすれば強力になってあたりまえ。まあある意味メイン会場の2バンドに近い路線といえば路線なのかもしれない。
そしてメイン会場トリのAli Farka Toure。アフリカの伝説的ブルースマンという触れ込みで、もしなんか弾き語りみたいので唸られたら…と思っていたら、ちゃんとバンド形式で電気のg、b、あとパーカッション二人(一人はアフリカンなやつ)、あとマンドリンぐらいの大きさのペンペン鳴る弦楽器、そしてボーカルのアリがギター。サウンドに関してはまさにモダンブルースの様式。しかしインプロヴゼーションが続くところでは、テクを使うソロというよりも、延々呪術的に続いていく感じ。感覚としては同じブルースでもカントリーブルースの2コードで延々繰り返していく感じに近い。そこにアフリカの呪術的なボーカルとアフリカンなパーカッションが絡むので、かなりドープな世界で、葉っぱもってこいてなもんだ。最初はメインとサブ変えたほうが?なんて思ったけど、どっこい完全にヤバイ世界になってきて、かなり強烈な2時間近い演奏だった。
今日はメイン会場ばかりで立ちっぱなしで6時間近かったのでかなり疲れた。しかしニースジャズフェスは思えばいわゆるベテランであったりそういうアーティストが非常に少なく、若手や新しいものがより多く選ばれているのが面白い。先にいたジョアンジャズフェスはベテランのビッグネーム主体であるのと対照的に。でありながらけっこう年配の人も楽しんで参加していて、もう爺さんくらいの年の人がHIPHOPでのっていて、「これはいい」「これはつまらん」と普通に見ているのが非常に面白いフェスだなと今日はより思った。