7月
22

 昨日、靴を買ったので朝は軽くジョギング。海沿いの道を走る、気持ち良いこと。たぶん4、5キロといったところか、走りやりやすいのでいい。

 シャワー浴びて、朝飯(パンにジャムつけて)食べて一休みしてから、この日はバスに乗ってサンポールへ。ヴァンス行きのバスで1時間弱くらいで着く。 

 まずは山の上に密集して立つ街の中へ。一本の通りがあってそこに、美術ギャラリーばかり並んでいる。それを抜けると墓があって、そこにシャガールの墓があるというが、それ自体は発見できず。でもそこからの景色のすばらしいこと。

 そしてサンポールの見所はマーグ財産美術館。ミロやシャガール、ボナールとか現代美術が展示してあるんだけど、そこに行くのが凶暴なほどしんどい。800mとはいうものの、それが上り坂、それもかなり急な上り坂。もう着いたころには、かなり弱るくらい。でも気を取り直して鑑賞。とにかく美術館自体がすばらしい。光の入り方とかすごく気持ちいい空間になっている。そこに飾られた絵や彫刻なんだけど、まあ俺はその辺はまったく詳しくないから良くわからないんだけど、よくわからないなりになんか感じるようになってきた時があって。 現代美術の変な絵って学校の美術とかで見てもぜんぜん意味わからないじゃん、それが結構見てくうちに、自分なりになんか楽しみ方、感じ方がわかってくるんだよね。入ってくるっていうか。 

 それってJAZZとかBLUSEもそうで、やっぱ10代の頃とかってなんかよくわからなかったんだけど、カッコよさそうだし背伸びして聞いてたところは正直あるわけ、それがさ ある時期にガーって体に入ってきてなんかわかるようになった時があるんだよね。それの感じたことを、言葉にまでできれば評論家とかその筋のライターになれるんだろうし、ましてや楽器でもできればミュージシャンにでもなれるんだろうけど、その辺まったくできないからさ、感想文にもならない日記しかかけないんだけど。もう身体に入ってきちゃうんだよね。 そいでまだまだ世の中には自分が理解できてないで、ちょっとした理解でそういう感じれるものがあるのかと思えば、出会いたいもんだよね。

その後、乗ってきたのと同じ方向へ行くバスに乗って、終点のヴァンスへ。そこには実は今回一番行きたかったマチスが作った教会(礼拝堂)があるんだよ。それもバス停のある町の中心からは結構離れてて、またかなり歩く。こんな歩くならジョギングしなくてよかったじゃん。そして普通の道を歩いていくと、そこに白いこじんまりとした教会がある。

素描で書かれた聖母子の絵が入り口の上部描かれている。そして礼拝堂の中にはいると真っ白な壁、天井、床に青と緑と黄色のステンドグラスから光が差し込んでいる。その反対側の壁には白いタイルに素描で修道衣を着た聖人、聖母子が線一本の素描で壁一面に描かれている。そして後方の壁にはキリストの最後がこれも黒い線による素描だけで描かれている。なんというか、あまりにも何か抜けた世界というか…きっと最晩年のマチスの心の中をそのまま表した空間なんだろうな。なんかあまりに美しすぎるというか穏やかで。この領域に行くのはちょっと凄いね。なんかかなりキタ。

そいで今日のフェスのテーマは女性DAY。一応毎日テーマがあるんだよ。そいで本当に今日はメインのヘッド、STARSAILORってバンド以外はみんな女性ボーカル。そいで最初はメイン会場に出たBEADY BELLEって人。編成がドラム、ベースとキイボード、そいでボーカル兼Macとかツマミ弄る女の人。リズムが生音で、そこにちょっと音響ぽく乗っかる感じなんだけど、歌がすごいキャッチーというか、わかりやすい、いいメロディを歌うんだよね。なかなか面白い。途中でベースがウッドベースに変えて、keyもピアノになったりして、ソロとかそれなりに腕も見せる。まあなにしろこのボーカルの女が面白い。ちょっと変なワンピースを着て、奇怪な踊りを見せる。そいで自分の声をサンプリングしてツマミ弄ったりしてる。垢抜けないのに音はなかなか垢抜けているという。なかなか良かったんだけど、途中からベース、ドラムの生リズムに比重が置かれてきてだんだん飽きてくる。もっとメロディアスな部分で持っていったほうが面白かったのに。

そいでサブに行ったらMina Agossiなる女性ジャズボーカル。なんと編成がドラムとベースだけ。確かにこれで聴かせるんだから上手い。本当に上手いとは思う。でもやはり曲に展開が乏しいから面白くないんだよな、やっぱり。なんでこの編成なんだろ?う~ん。

そして結局メインにすぐに戻って、さっきのBelleさんがまだやってて、やっぱ始まったときにのめりこんだ面白さがなくなってるな。まあ終わって次がFEIST。セミアコギター持って現れる姿はフランスの林檎か?矢井田ではないだろうと思いつつ。始まるとイイ!素晴らしい!女性ロッカーこうあるべし、みたいな感じ。解説にはジェーンバーキンとか例えに出されたけど、女的な色気、かわいさとカッコ良さが自然体で合致してる感じ。フランスっていうと最近はエイミーシモンもそうだし、まあさっきの人もそうだし、AIRとかもそうだけど、ああいう電子音系(?)の人ばっかだし、こういうまぎれもなくロックでありながら、シャンソンてきなアンニュイさがある感じはあんまいないし、いいね。と思ったらフランス人じゃなかった、カナダの人だって。MCはたどたどしくフランス語で喋って、客の様子伺ってた。手拍子やコーラスをお洒落に要求したり、ステージングもなかなか。メンバーはkeydrと後トロンボーンとか鉄琴とかタンバリンとかそんなの担当とちょっと変わった編成。でも音は結構ストレートに感じる。途中一人で、そのセミアコgだけで歌うところもあり、それがカッコいい。かなり惚れたね。顔はちょっと…だけど。ステージ見栄えはいいから、もちろん良し。ちょっとCD買ってもいいかも。

そしてトリはサブに移って(まあその間にちょっと食べたりしつつ)メイビスステイプル。そしてkeyにビリープレストン!yeah!たしかに年だし、若い頃みたいな歌ではないけど、すごいんだ深みが。そいでもうね、ゴスペルだね。MCっていうか語りを入れだすんだけどさ、「長いこと歌ってステイプルズからうんぬんかんぬんで、神様に感謝して、家族がうんぬんかんぬん(コーラスにステイプルズのメンバー、要するに姉妹がいる)」ってもうそれがなんかいつ「アーメン」って入ってもおかしくない感じ。本当に歌っていること、ステージにいることがうれしいって感じなんだよね。ほんとうにマイクとかあんま関係なく(笑)自由に声だしてんだもん、ステージの横行って各メンバーのソロを見てる時とか、そのコーラスの姉妹と和んでるし、タオル振り回してソロを煽るしやりたい放題。そいで10年ぶりにCD出したらしくて、しきりと「ビヨンセには負けないよ。まあオールドスクールだけどね、がははは」と。そりゃ40年とか音楽業界でやってりゃ、嫌な事だってあっただろうし、いろいろあると思うんだよ。家族で歌うゴスペルから始めて、R&B、ソウルを歌い、またゴスペルのような(それはスタイルじゃなくて精神としてね)ところに戻ってきてるんじゃないのかな。その神様ってのは音楽ってことだと思う。歌、音楽への気持ちっていうのが、最大の信仰(生きる導き)なんだろうね。それに感謝することがゴスペルのように聞こえるんだと思う。 それは昼に見たマチスの教会とも通じるものを感じるんだよね。 正直、彼女の歌を聴いてたら、涙が出てきた。


彼女をプロデュースしたことあるプリンスも聴いて泣いたのかな?