lumière。 9 | 潤いと和み。

潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
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妄想blです。













お嫌いな方はスルーで。













振り返ってみればその当時は、活字中毒だったんだろうなってくらいに本を読んでいた。

それこそ、起きた瞬間から眠る寸前まで手当たり次第に。

何がそんなに夢中にさせたのか、今となっては自分でもよくわからないけど。

まるで文章を流し込むみたいに。
何か、脳みその隙間を埋める為に文章を詰め込むような。
そんな不思議な感覚。

今はもう、そんな感覚で本を読む事はなくなった。
だから、あの頃の感覚を例えるなら正に中毒なんだったんだって思う。

二宮くんから借りた本のページを捲っていくと、あの頃の薄れてしまった記憶と感覚を思い出させた。
過去と現在が交錯していくこの本の内容もそうさせているのかもしれない。

昼休みを費やして、読み進める。
最初は家で読もうと思っていたのに、こうして会社にまで持ってくるくらいにこの世界観に引き込まれている。

ページを捲りながら、下のテナントで買ってきたコーヒーに手を伸ばす。
目線は文字を追ったままで傾けたカップ。
瞬間、唇の端から僅かに零れて慌てて手の甲で拭ったけど、間に合わなくてスーツの襟元に落ちた。

「うわ...。」

「何やってんの?」

思わず出た声に反応があった事にビックリして顔を上げた。

「見てました?」

「うん。そんなに夢中になって、子供みたいだなぁ。」

クスクスと笑いを含む声で答えた人は、広報課の櫻井さんだった。

「そんな面白いの?それ。」

「面白いっていうか、これから面白くなりそうな気がするって感じですね。」

そう。
だから、ついつい会社にまで持ってきて読みたくなってしまう。

櫻井さんは、大学の先輩でもある。
といっても、一年被っただけ。
だから、その当時はほとんど接点はなかったんだけど、インターンシップの時にお世話になったのがきっかけで時々飲みに行ったりと、親しくさせてもらっている。

「その本って、もうすぐ映画で公開されるやつだろ?」

「そうです。映画も見に行こうと思ってるんで、読んどきたくて。」

「その映画、俺も見たいと思ってたんだよ。何なら一緒に行くか?」

「いや、もう先約があるんで。すみません。」

「なんだよ、デートかよ!」

くそぅ!って、悔しがるような仕草で笑わせてくれる櫻井さん。

「違いますよ。」

別にデートなんかじゃない。
だけど、相手が女の子でもない最近知り合ったばかりの男子高校生だって事を言うのは躊躇ってしまった。

そう思う事に、何となく違和感を感じた。

会社での付き合いしかない人になら、きっと感じる事はないと思う。

櫻井さんだから、言いたくないんだと思う。

彼は、俺の特別な人だから。


言えないままに終わらせた、
終わらせる間際にやっと自分で自覚した恋の、
その相手だったから。