lumière 2 | 潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。






お嫌いな方はスルーで。







side J






仕事の終わり、いつもとは違う道を走る。
目当ての場所は、図書館。

週末に行くはずだったのに、野暮用が入って行けなかったせいで、借りていた本の返却日が過ぎてしまっていた。


一日でも早く返却した方がいいに決まっている。
だから、申し訳ないと思いながらも
閉館後でも返却できるポストに入れる事にした。



駐車場に車を停め、入口の脇に据えられているポストに向かう。
いつもは昼間にしか来ないから、夜の図書館はいつもとは違う雰囲気で
思わずキョロキョロと辺りを見回した。


ここの図書館は、同じ敷地に市営の体育館や会議室なんかの施設が併設されている。
だから、図書館は閉まっていても周りは明るい。
そして、屋根もある。

だからなのか、どこからか歌う声とギターの音が聞こえる。
アンプやスピーカーを通していないその音は練習のためのもののようで、同じフレーズを繰り返していた。


何だか懐かしい。
自分の学生時代を思い出させた。


ポストに借りていた本を投函し、今来た路を引き返そうとしたとき
自販機の明かりに照らされた、ベンチに座る学生に目が止まった。


あの、背伸びして本を取ろうとしていた子だった。


それと同時に、自分が零してしまったあの言葉も思い出した。


声、掛けてみようかな...
いやでも忘れられてたら、不審者みたい?


そんな事が一瞬頭を過ぎる。

でも、アレも縁ならコレも縁だ。
そう思って、思い切って声を掛けた。




「こんばんわ。」


「...こん、ばんわ?」


語尾が少し上がって疑問形みたいな返事に、やっぱり覚えてないかって不安になる。


「えっと...この前図書館で会ったよね?覚えてない?」

「...あ!あの...」


目をまん丸くして、思い出した!って顔をした。


「こんな時間に、何してるの?」

「...ここの自習室で勉強してて。
ちょっと休憩で、外に出てきたとこです...。」


そういえば、ここの施設には自習室もあった事を思い出した。


「そういえばあったね、自習室。」

「テスト前なんで、ちょっと詰めたくて。」

「そっか、テスト前かぁ。」


そんな他愛のない会話のお陰か、
さっきよりも少し表情が柔らかくなった気がした。

それを確認してから、ポケットから財布を取り出して自販機に小銭を入れる。


「何飲む?奢るよ。」

「え?いや、大丈夫です!」

「頑張ってる学生さんにご褒美だよ。
好きなの押しな。」


早くしないと小銭が戻ってくるーって急かすと、慌てたように立ち上がって人差し指で左から右へと並ぶジュースの感を謎っていく。


「じゃあ...コレで。」


遠慮がち言ってから、炭酸ジュースのボタンを押した。


ガコンって音と共に落ちてきたジュースを取り出し、自分の分のコーヒーのボタンも押す。
ほいって差し出すと、両手で受け取った。


「ありがとうごさいます。」

「どういたしまして。
てか、この前...気ぃ悪くさせてたらごめんね。」

「え?あ...いや、大丈夫です。」

「ビックリしたんだよ。中学生なのにこんな本読むんだなぁって。」

「...は?」


彼の顔が一瞬で変わる。
それはこの前と同じ表情。


「...え?」

「オレ、中学生じゃない。高校生です。」

「え?!マジで?!あ、ゴメン!!」

「...ジュース、ご馳走様でした。」


静かにそう言った彼は立ち上がり、この前と同じようにぺこっと頭を下げて施設の方に歩き出した。

ヤバい、完全に怒らせた!


「ちょっと待って!お願い!!」


歩き出した彼の腕を引いて引き留める。


「ほんっとに!ごめん!!」

「...もういいです。童顔だからいつも間違われるし。」


って事は、今までも何度も同じように嫌な思いをしてきたんだ。
それが容易に想像出来て、余計に何て謝ればいいのかわからなくなって、呼び止めて引き留めたのに言葉に詰まってしまった。


「...もう、いいですよ。」

「いや、そんな訳には!一度ならず二度までもって...」

「ふふ。じゃあ、またココで会えたら、ジュース奢ってください。
それでチャラにしてあげますよ。」


さっきとは違う、小さな笑顔が見えてホッとして、掴んでいた腕を解いた。


「わかった、奢る!
でも、ホントにごめんね。
俺、松本です。君は?」

「二宮です。二宮和也。」


そう言って、また1つぺこっと頭を下げて自習室へと歩いて行った。