妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
side N
新学期になって、じゅんくんと同じクラスになれた。
嬉しくて、ドキドキしてた。
一年間、今まで以上に一緒にいられるし。
修学旅行だって一緒に回れる。
そんな事を思って浮かれてたのに。
オレは今、靴箱に入っていた小さなメモ紙に書かれていた教室で
オレの事を呼び出した相手を待っていた。
今までも時々、こうゆう事があって。
所謂、告られるんだろうなって思いながら、窓際の一番後ろの机に座り、手持ち無沙汰に時計を見ていた。
「ニノくん、いきなりごめんね。」
やって来たメモ紙の送り主は、一年の時に同じクラスだった子。
委員会が一緒になった事もある子で、割とよく話す子だった。
「ん、どうしたの?」
何となく予想はしているけど
話の水を向けてみる。
「あの・・・ね、もうこんな事したら丸わかりかもしれないけど。
ちゃんと自分の言葉で伝えたかったから。
あの・・・えっと・・・。」
きゅって握られたその子の手を見ていた。
それはまるで、一生懸命言葉にしようとしてくれている彼女の決意みたい。
だから、ちゃんと聞かないと。
思いを伝えるって、そんなに簡単じゃないのはよくわかるから。
「あのね、あの・・・ニノくんの事が
好きです。
クラスが離れちゃって、きっとこのまま来年も接点がなくなっちゃうと思ったから、どうしても伝えたかったの。」
早口なんだけど、ひとつひとつの言葉を選んでくれているのが伝わってくる。
「ありがとう。」
だから、素直にそう返すことが出来た。
「オレ、好きな人いるんだ。だから・・・。」
「うん、何となくわかってた。ニノくんは皆に優しいから。
あたしにも優しいから、きっと特別にはなれないって思ってた。」
笑いながら眉を下げるその子の事、正直申し訳なく思うけど。
でも、じゅんくん以外の人に気持ちを持っていかれるなんて考えられない。
「一緒のクラスの時は、いつでも会えるからって思ってたの。だけど、クラスが離れちゃって、そこで初めて気付いたの。
いつでもって、いつまでもじゃないんだなぁって。
だから、ちゃんと自分の気持ちを伝えたかった。
答えはわかってたけどね。
ニノくん、聞いてくれてありがとう。」
その言葉が、胸に刺さる。
いつでもは、いつまでもじゃない・・・
頭ではわかっていたけど、その通りなんだ。
あと二年。
じゅんくんと一緒にいられるって確実な時間は、それしかない。
それだってもしかしたら確実じゃないのかもしれない。
そんな当たり前のことを教えてくれたのは、目の前の大人っぽく笑うその子の言葉だった。