スタートライン。2 | 潤いと和み。

潤いと和み。

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妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。








『花火。』続編です。





side  J





帰り着いたらちょうどで洗濯物をリビングんで畳んでる母さんがいた。


「潤、おかえり。テストどうだった?」


いつもと変わらないおかえりと、それと同じトーンで聞いてくるテストの結果。

どんな反応をされるのかちょっとビビりながら、カバンの中から弁当箱とテストの答案を出した。


「ごめん、一個赤点だった。」


何に対してのごめんなのか、自分でもあんまりよくわからないけど。

差し出したプリントを見て、母さんは静かに言った。


「潤、そこ座りなさい。」


・・・母さん。
俺、知らなかったよ。

あなたがそんなに教育ママだったなんて。


そんな事を思いながら、言われるままにその場に座った。



何となく、ラグの上じゃなくてフローリングの上に正座する。
これからきっと説教されるんだ。
気分はもう最悪。
赤点取ったってだけでも充分ショックなのに、今からその傷を抉られるんだ。

そう思って覚悟して。
正座した膝の上、拳を握った。



「潤、ママはあんたが赤点取っても別に構わないの。あんたの人生だもの。」

「え?」

「あんたの成績が悪くても、別にママは困らないでしょ?あんたが行きたい大学に行けなくなるだけの話だもの。だけどね、それよりもっと大事な事がるの。」

「大学行くより大事なこと?」

「そう、かずくんの事。」


俺の成績とかずの事。
そこに何の繋がりがあるのか、あんまりぴんとこない。


「ママやかずママは、あんた達の事よくわかってるけど、そうじゃない人もいるの。
成績が下がった事を、付き合う友達のせいだって思う人もいる。
潤は、知らない人が何言っても関係ないって思うだろうけど、かずくんがそう言われた時どう思うか、考えてみなさい。」

「あ・・・。」


母さんに言われて、初めてその事に思い至った。
俺が成績が下がると、かずが悪く言われるかもしれない。
俺は自分の事だけど、かずにしてみたら謂れの無いことで変な目で見られるんだ。


「母さん、俺・・・どうしよう。」

「どうしようって・・・そんな情けない声出さないの!男の子でしょ!!」


母さんが、俺の頭をぐしゃぐしゃって撫でる。
乱暴だけど、その手がすごくあったかくて。

いつもニコニコしてて、姉ちゃんと一緒に大好きなアイドルにキャーキャー言ってる母さんだけど。
その手のあったかさと、力強さは
やっぱり母さんなんだって思える。


「俺、追試一発クリアする。ちゃんとする。」

「頑張りなさい。かずくんのためなら、頑張れるでしょ?」


母さんの言葉どおり、かずのためなら頑張れる。
てか、頑張る。


「今頃きっと、かずくんも怒られてるんじゃないの?
かずママから、潤の赤点あんたのせいでしょ!!って。」

「え?なんで?かずは関係ないよ。」

「親ってね、そうゆうものなのよ。
自分の息子も大事だけど、息子が大事にしてる相手も同じくらい、可愛いものなの。
だから・・・うちの子のせいなのかもって思っちゃうのよ。」


それなら尚更頑張らなきゃ。
俺、かずの母ちゃんの事も好きだもん。
かずの母ちゃんに、そんな風に思ってほしくない。


「母さん・・・ありがとう。」


膝の上の握った拳にもう一度力を込めて、自分の部屋に上がった。