宵待つはうたかたの中で。29 | 潤いと和み。

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大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。








カレンダーが夏の終わりを報せるくらいになって、ようやく松本さんの撮影をする日が来た。


場所は最初の予定通り大野さんの自宅。

プールと、庭と、ウッドデッキと。

オレが感じた松本さんの強さ、優しさ。
それを引き出す為にどうしたらいいか。

ずっとそれを考えていたら、こんな時期になってしまっていた。


夏の日差しの下。
見上げると抜けるような綺麗な青と、それを際立たせる真っ白な入道雲。

それが松本さんに抱いたイメージ。

だから、なるべく自然の光で撮りたくて
朝カーテンを開けて目に飛び込んできた天気がまさにうってつけな晴天の今日、
本当に急遽撮影させてもらう事にした。






準備する機材はカメラひとつ。

・・・あとはオレの腕だけ。


「とりあえず、プールサイドから行きましょうか」

声を掛けた松本さんは、はいって返事をしたけど、その声がなんか固い。
大丈夫かなってちょっと心配になったけど
ソファに座ってもらって、その正面からカメラを構えた。








あの日から、ちょくちょく飲みに行ったり
たろうの散歩に付き合ったりするようになった。

あの、夕立の日。

過呼吸になったオレを、ずっと抱きしめてくれたあの日。

松本さんがくれたメールで、オレ達は動き出した。

二人でいると、やっぱり時々掠めるニノの記憶。
それは松本さんも同じだったみたいで。

オレを「ニノ」と呼ぶ松本さん。
松本さんを「じゅん」って呼んじゃうオレ。

そんな関係に、胸のモヤモヤが積もって行った。

だけど、二人でいる時間が穏やかで居心地がよくて。
誘われると会いに行ってしまうし、
オレも何かと理由を作っては連絡をしてしまう。

少しずつ積もっていく不安やきっと嫉妬なんだろう気持ちを晴らそうと、会いに行く。

行くのに、そこでまた更に複雑な気持ちを抱え込んで来てしまう。

それはまるで負の連鎖のよう。

だけど、どうしても素直にその思いを口に出せずにいた。
口に出してしまったら、松本さんの気持ちがどうなってしまうのかわからない。
それ以前に、オレ自身もどうなってしまうのかわからない。

それが、怖かった。

結局オレは、何一つ変われていないんだ。

人と対峙する、相手の心に踏み込む、

それが

・・・怖かった。



それでも惹かれてしまう。

怖くて、触れられない。

なのに、手を伸ばしたい。

どうしたらいいのかわからないジレンマの中にいた。







「二宮さん、俺・・・笑えばいいの?」

ファインダー越しに見つめる松本さんの顔は微妙に引き攣っている。
それが、何か可愛い。


「緊張してる?」

「そりゃ・・・多少は、ね。」

そう答えた声もまた固くて、思わず笑った。

あの目を、笑顔を引き出すにはどうしたらいい?
これは、オレの仕事だ。

写真家であるオレの仕事。


ほんの少し考えて、もう一度ファインダーを覗いて。


「ねぇ、松本さん。ニノの話をしてよ。」


切り出したのは、写真家二宮和也として。
これからも写真を続けるにはきっと
この壁を乗り越えなければいけないと
直感的に思った。

それはまた、オレとニノ、松本さんとじゅんの
交差する記憶と思いを昇華させる事でもある気がしていた。