うたかたの中で宵待つ。1 | 潤いと和み。

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妄想blです。






お嫌いな方はスルーで。







玄関ドアを開ければ目に飛び込んでくる朝焼けの空。
青と赤と紫と、オレンジが混じったその色が綺麗で。
まだ暑さの欠片も感じさせない空気をその空の色ごと大きく吸い込んで、身体に染み込ませた。




この海沿いの一軒家に引越しを決めた理由のひとつはこの空が見れる事だった。

デザイン事務所でガムシャラに働いていた頃は、夜中でも明るい街を早足で歩く自分をほんの少しだけ誇らしく思っていた。
だけど、ある時ふっと思ってしまったんだ。

・・・いつまで続く?

一度芽生えた自分への問い掛けは、どんなに仕事で結果を出しても答えが見えなくて。
夜を感じさせない街の明るさに、自分の足元から伸びるはずの当たり前にあるはずの影さえも感じさせないその不安定さ。
肩書きが上がる度に取り替えられていく名刺のその厚みが、『 松本潤 』本体を削って消費した結果の厚みのような気がして。

耐えられなくなった。

ガムシャラだったからこそ得られた技術とセンス、それだけを手に会社を辞めて
この海沿いの一軒家で独立しようと決めたのは、そんな理由からだった。




門柱に掲げた看板『 J‘s』の下の郵便受けの蓋を開けて新聞を取り出し
下駄箱の上に置いて、履きなれたサンダルに素足を突っ込んで日課になった散歩に出る。


ついでに朝市に寄って、朝飯になりそうな食材とパンも調達しよう。


海を見ながら少し歩くと、うちの家とは趣が全く違う高級住宅地に差し掛かる。
そのうちの一軒、『 大野 』と書かれた表札の家に立ち寄るのも、毎朝の日課になった。
この表札のデザインも、俺の仕事の一つ。

綺麗に手入れされた青々とした芝生の庭の奥、ウッドデッキにいる相棒を見つけた。

「たろー!行くぞー!!」

大きく声を掛ければ、返事とばかりにワン!!と一つ吠えて、散歩に必要なリードや携帯用の水受けの入った小さなバッグを咥えて飛ぶように駆けてくる。

「よしよし。お前お利口だな。」

わしゃわしゃとその頭を撫でてバッグを受け取り、中からリードを取り出してその首に掛けられたチョーカーに繋いでやって。

「よし、行くぞ!」

たろうと並んで歩き出した。