末ズ小話。53 | 潤いと和み。

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大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。






お嫌いな方はスルーで。









それは、偶然だった。

短い声と、床に散らばる書類。
その書類が掠めて、潤くんの指先に小さな傷を作っていた。



白磁のような肌のその指先に
ぷつりと現れた紅い溜まり。

白と紅のコントラストがあまりにも綺麗で
思わず伸ばしそうになる自分の手を
きゅっと握りしめた。


すぐに気付いた翔ちゃんが駆け寄ったから。





おとぎ話の綺麗なお姫様の継母が
鏡の精から言われた言葉


「あの子の唇は、真紅の血のように赤く美しい」



その言葉で思い描いたものは、きっと今しがたオレが見たものと同じなのかもしれない。

目の前の二人を見ていたら、
あの継母の気持ちがほんの少しだけわかる気がした


手に入らないのなら、いっそ・・・

・・・壊してしまいたい。

この手で。






その傷口に唇で触れて、
溢れる紅い溜まりを舌でなぞる。


瞬間、歪められた眉根。



大丈夫。
痛みなんてすぐに忘れるよ。

掴んだ手を引いて抱き寄せ、そのまま唇を塞いでしまえば、
キミはあっという間に従順にその舌を絡ませてくるから。

痛みなんて忘れるくらい、食んで、絡めて、何もわからなくしてあげる。







翔ちゃんが潤くんを呼ぶデカい声が響いて、
その声の大きさで我にかえる。


あまりにもリアルな想像に、身体の熱が上がりかかっていることすら気付かなかった。

それと同時に、
なんて歪んだ愛だと心で嘲る。


こんなオレは見せられない。


それでもせめて

オレの世界の中では

キミはオレだけを愛していて。

お願いだから。


オレの姿はきっと

おとぎ話の鏡の精に願ったあの継母と

そう変わりないのかもしれない。



こんなオレは見せられない。


翔さんが巻いたとも言えないように寄れてその指に張り付いた絆創膏をゆっくりと剥がし
新しいものの封を開ける。

傷が残ると綺麗な指が台無しだ。

だから

早く良くなりますように。

そうおまじないの言葉を胸の中で呟いて

その綺麗な指先に巻いた。





歪んだ欲望は笑顔に隠して

あの継母みたいな顔は微塵も見せずに。