妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
大きなビーズクッションに埋もれるように二人で寝転んで、オレの腕枕でゲームをしてるかずに話し掛けた。
「んー?なーにー?」
画面から目を離さず、振り返りもせずに答えるかずに、ちょっとモヤっとする。
「どっか行かねぇ?」
どこって聞かれたら困るけど。
「ヤダ。外寒い。」
・・・即答ですか。
まぁ、確かに今日は寒い。
てか、今年は特に寒い気がする。
いつも以上に降った雪で学校も休みになったり、凍った道路は自転車で通るにはちょっと気合いがいるし。
今日だって確かに寒いけど、久々に晴れた日曜なんだから、どっか出掛けるのもいいんじゃないかと思ったんだけど。
寒がりで意外とインドアなかずの返事はやっぱり予想どおりだった。
「こんなに引きこもってたら、オレしんじゃう・・・。」
「・・・何言ってんの?」
「遊びに行きたい・・・。」
わざと大げさに、ぐすんと鼻をすすって。
まるで泣いてるみたいなフリでかずのお腹に回した腕に力を込めた。
首筋に触れるくらいに抱きしめたら、ふわんとかずの匂いがする。
何か、甘い匂い。
大好きなかずの匂い。
「じゅんくん、擽ったい。」
「だって、かずが意地悪言うもん。」
埋めた顔をふるふると振って、わざと擽るようにする。
「んっ!こら!」
体を捻って嫌がるかずの声は、全然怒ってる風じゃないから、もっとやってやれって
更にグリグリと擦り付けた。
「もう!じゅん!!ゲームの邪魔!!」
「もう!かず!!ゲームが邪魔!!」
わざとかずのモノマネで答えた。
だって、暇なんだもん。
そんな風にいじけたふりをしてたら、パコンとゲームを閉じてくれたかずが
くるりと体を反転させてくれて。
俺のほっぺをむぎゅっと摘んで遊び出した。
「もうちょっと暖かくなったら、お花見行こうか?」
インドアなかずにしては珍しい提案に、一瞬でテンションが上がる。
「行く!お弁当作るから!」
「ふふ。オレも母ちゃんに教えてもらって何か作ろうかな。」
かずの、たった一言で嬉しくなって。
約束が、嬉しくて、楽しみで。
「だから、今日はこのまま部屋デートにしよ?♡」
ちゅって軽くキスされたら、もう答えはひとつ。
抱きしめて、体の上にかずを乗せて、ゆらゆら揺れながら、いっぱいキスした。
「母さん、コレでいい?色合いどう?」
「うん、いいんじゃない?」
キッチンで母さんに教えてもらって作ったのは、具がたくさん詰まったサンドウィッチ。
姉ちゃんは「萌え断!!」とか何とか言いながら、色んな具材の組み合わせを教えてくれて。
それを重ねて、重ねて。
「・・・コレ、サンドウィッチの厚みじゃなくね?」
思わず出た感想は、かずが少食だから。
「大丈夫よー、潰すから!(笑)」
「・・・マジで?」
それって何かもったいない気がする。
こんなたくさん詰め込んだのに、潰すって・・・。
でも、姉ちゃん曰く
「その方が断面がキレイだから、大丈夫なの!」
だって。
その言葉を信じて、出来上がったサンドウィッチをペーパーに包んでから包丁を入れた。
・・・あ、なるほどね。
その断面は、予想以上に鮮やかな色合いで
萌え断ってこうゆうことかって納得した。
その他のおかずも詰めて、保冷バッグに入れて。
最後に飲み物を用意していたら、姉ちゃんがかずにって箱をひとつ差し出した。
「これ、なに?」
「イチゴ大福。かずくんと食べて。」
・・・イチゴ大福って、家で作れるんだ。
てか、かずの為なら何でもしてくれるんじゃねぇのって、ちょっと思った。
あの約束からひと月。
やっと暖かくなってきて、桜もだいぶ開いてきたから。
課外授業のない春休みに、かずとお花見デートに行く。
お弁当を持って。
姉ちゃんにいつも借りてるラウンドタオルも持って。
一応のブランケットも持って。
・・・なかなかの荷物になってしまった。
自転車の二人乗りは出来ないっぽいけど、
それでもいつもと違うデートに、ウキウキしていた。