お嫌いな方はスルーで。
朔夜の月華。
続編?
帰ってきたかずさんとまず最初に出掛けた先はLoveLeaf。
「ただいま」の報告と、借りていたサイフォン一式を返す為。
「まーくん、ただいま。」
「ん。おかえり。」
それだけ言うとかずさんはカウンターに座って、雅紀さんはコーヒーの準備を始めた。
まるで3年の空白なんて存在しなかったみたいにごく自然な二人に、逆にこちらがどうしていいかわからなくなる。
そんな俺にくすりと笑ったかずさんが隣の椅子をぽんぽんと叩くから、促されるままに座った。
「こっち、暑いね。」
「まだ4月なのにねー。桜も散っちゃったよ。」
二人の会話はいつもと変わらずって感じで。
あー、これが幼馴染なんだなって思いながら聞いてた。
他愛のない世間話をして、あっという間に時間が過ぎる。
「かずさん、俺そろそろ帰るね。」
「・・・帰んの?」
「明日、仕事だもん。」
「ん。わかった。」
「週末、また連絡するから。」
ん。って短く答えたその顔は少し泣きそうに
唇を噛んでいた。
そんな顔されると、離れ難い。
だけど、今日は帰らないと。
「かずさん、今日は帰る。でも、淋しくなったら連絡してね?すぐ来るから。」
頬を撫でて、ぽんぽんと頭を撫でる。
「・・・お前ら、見てる方が恥ずかしい。」
雅紀さんにそう言われて、その途端耳まで赤くしたかずさん。
そんな可愛い顔しないでよ・・・。
本当に帰りたくなくなるよ・・・。
だけど、後ろ髪を引かれつつ、週末にまた連絡するからってLoveLeafを後にした。
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結局金曜になるまで、かずさんから「淋しい」なんて言葉は聞けなくて。
仕事の終わりに少し買い物をしてそのままかずさんの部屋に向かった。
というか、かずさんも帰国してから割と忙しいらしくて出掛けている事が多いみたいだった。
昔みたいに合鍵で入るけど、やっぱり何だか変な感じで。
誰もいないってわかってるのについ玄関で靴を脱ぎながら
「お邪魔します」なんて言葉が出てしまう。
まぁ、俺んちじゃないんだから当たり前なんだけど。
相変わらず食材が入っていない冷蔵庫に買ってきたものを入れて本来の仕事をさせつつ
簡単につまめるものを手早く作っていく。
もしかしたら、昔と好みが変わってるかもしれないと思いながら、かずさんが食べられるものを適当に用意して。
そうこうしていると、玄関から音がしたから
かずさんが帰ってきたんだろうと思って出迎えに行った。
「おかえり。」
そう声を掛けると、にっこり笑うかずさんはスーツ姿で。
やっぱり仕事で出掛けてたんだってわかる。
「ただいま。遅くなった。」
ネクタイを緩めながら靴を脱ぐかずさんに両手を広げると、腕の中にダイブするように飛び込んでくる。
「かずさん、お風呂今から入れるから、それまで飲んでる?」
「ん。ビール飲みたい。冷えてる?」
グラスも冷やしておいて良かった。
部屋着に着替えたかずさんとソファで寛いで、ゆっくり飲む。
仕事頑張って、週末にはかずさんに触れながらまったり過ごす。
少しだけ酔いが回ってきていつもよりふにゃふにゃしてるかずさんは可愛いし、冷えたビールは美味いし。
「はぁ・・・。なんか・・・いいね、こうゆうの。」
思わず溢れた本音。
「・・・なんかおっさん臭い。」
くすくす笑いながら答えるかずさんに、悪戯心が湧く。
「おっさんかどうか、かずさんが確かめてよ。」
抱き込んでいた腕を弛めて、かずさんの服の裾から手を入れた。
「ん・・・。」
撫で上げるだけで洩らす声に俺もアガる。
「なんか、前より敏感になってない?」
まだかずさんの好きなトコロに触れてもいないのに。
「しらなっ・・・んっ!」
首筋に唇を這わせ、耳朶を甘噛みして。
触れるごとに、撫でるごとに反応してくれるその身体が愛しくて、ちゅっと音を立てて耳の後ろに口付けた。
「ん・・・潤・・・お風呂、行こ?」
「洗ってあげるね。」
抱き込んだ格好そのままに、ソファから立ち上がった。