妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
リビングで姉ちゃんが呼ぶ。
いいけど。
いいんだけどさ・・・。
なんで語尾に♡が付くんだろう?
母さんも姉ちゃんも、そんなにかずが可愛いのか!?
身内のオレですら引くよ、マジで。
呼ばれるがままにリビングに行くと、テーブルの上には紙と色鉛筆と爪楊枝。
はいって一式渡された。
「なに?これ、もしかして・・・」
今夜のメニューはオムライス。
考えられる事は、ただ一つ。
「国旗、描こうと思って♡」
・・・だよな。
そう来るよな?
「かずくん、行ってみたい国の国旗描こう♡」
「・・・行ってみたい国?」
「そう。もしも、潤と旅行に行くのなら、どこに行きたい?」
それならなんかちょっと、興味あるかも。
スマホで調べていい?って姉ちゃんに聞いてるかずは、もうどこかの国を思い浮かべてるみたいで。
オレとの旅行を想像してくれているのが、何だか嬉しくなった。
それぞれ、小さな紙に色鉛筆を走らせて国旗を描いていく。
時々スマホを見ながら、時々想像しながら。
「出来た!」
最初に描けたのはかずだった。
その手の中の小さな旗を見ると、そこには日本の国旗。
「かず、手抜きじゃね?」
思わず呟いた。
だって、赤い丸一つなんだもん。
「外国ってよくわかんないもん。それに、オレじゅんくんと温泉入ったり、枕並べて寝たり、そんなんで充分楽しいよ。」
ちょっと頬を膨らませて反論するかず。
そっか。
「いつか、行きたいな。」
かずと二人で温泉。
楽しいかもしれない。
「いつか、てか、来年行けるよね?」
「あ!修学旅行!!」
楽しみだねって笑うかず。
「じゅんくんは?どこの国?」
オレの手元を覗き込むかずに、出来上がった国旗を見せた。
「オーストラリア?」
「そう。かずと、エアーズロックに行きたい。」
地理の授業で習った。
もう間もなく、エアーズロックに登れなくなるって。
出来ればその前に、なんて夢のまた夢だけど。
だからこそ、オーストラリアの国旗にした。
「お姉ちゃんはねぇ、ハワイ!」
「ハワイって、どんな国旗?てかアメリカだよね?」
「調べたらハワイ州の旗があるんだって。学生が彼氏と旅行なら、ハワイくらいがちょうどいいかなって思ったの。」
「・・・姉ちゃん、何か夢がない。」
自分から言い出しといて、一番現実的な事考えてる姉ちゃんが、何か面白かった。
3人それぞれ自分の描いた旗を見ながら、
「いつか行きたいねぇ。」
なんて呟いてた。