お嫌いな方はスルーで。
「かずくーん♡」
そう言いながらリビングに入ってきたじゅんくんのお姉ちゃん。
「あ、お邪魔してます。」
「初めましてー♡潤の姉です♡」
両手を広げて近付いてくるお姉ちゃんにちょっとドキドキしてたら、じゅんくんが後ろから止めてくれた。
「やーめーろーって。母さんと同じだな。」
「だーって!楽しみにしてたんだもん♡」
そんな事言われて、何て返したらいいかわからなくて。
思わず俯いてしまった。
「姉ちゃん、たい焼きあるよ。食べる?」
「ホント!?食べるー♡」
「じゃあ、手洗っておいでよ。出してやるから。」
わーいって言いながら、お姉ちゃんは洗面所に消えて。
じゅんくんはキッチンに行った。
「ホントに可愛いよね、かずくん。」
おやつのたい焼きを食べるお姉ちゃん。
オレらが課題をやっていたテーブルを片付けて、その空いた場所に座って。
「潤が隠しときたくなるのわかるわー♡」
「・・・姉ちゃん、どうゆう意味だよ。」
・・・ホントにどうゆう意味?
「実物の方が可愛いもん。」
・・・もう、なんて返事したらいいのかわかんない。
「姉ちゃん帰ってきたから、オレら部屋行こうか?」
じゅんくんの言葉に、少しほっとした。
「えーっ!?お姉ちゃんまだかずくんと話したいー!」
「後からまたゆっくり話せばいいだろ!?」
かず、行こうって課題を持って立ち上がるじゅんくん。
お姉ちゃんにペコって頭を下げて、オレも課題を持ってじゅんくんに続いた。
「マジでうちの女共は・・・。かず、ごめんな?」
「パワフルだね。」
じゅんくんの部屋、ソファの代わりに置かれた大きなクッションに二人で埋まるように転がって。
じゅんくんの腕の中に抱かれてた。
「・・・ちょっと待ってね。」
そう言うと、一人で起き上がって正面のテレビボードのとこで何かいじってる。
ピコンって音がして。
スマホを手に戻ってきたじゅんくん。
仰向けで寝転がったじゅんくんの腕枕で、オレも同じように寝転がった。
「なにがいいー?」
そう言いながらスマホをクルクルといじってる。
開いたのは音楽が入ったアプリで。
一緒にその画面を覗いた。
「じゅんくんのオススメは?」
「んー・・・コレ、かな?」
タップすると、テレビボードに置かれたスピーカーから音楽が流れてきた。
「あ、これ知ってる。映画のヤツだ。」
「そう。これ、結構好きなんだ。」
低音が効いた激しめの曲が流れる。
それに合わせて、ふんふんって鼻歌を歌うじゅんくん。
そして、それを下から見上げるオレ。
気持ちよくて、心地よくて。
スマホをぽいって投げたじゅんくんが、寝返りを打ってオレを抱き込む。
「・・・じゅんくん、寝るの?」
このまま昼寝しちゃうのもいいなぁって思って聞いた。
「かず・・・。ちゅー、しよ?」
「ふふ。それ、今日何回目?」
可愛くてついからかうようにそう言ったら。
「・・・じゃあ、もうしない。かずのばか。」
あーぁ。拗ねちゃった。
じゅんくんの頭をよしよしって撫でた。
「ここなら、もう邪魔されない?」
「・・・ん。母さんいないし、姉ちゃん下だし。」
「・・・じゃあ、いいよ。」
そう言ったらすごく嬉しそうに笑うから、こっちまで嬉しくなる。
頬を両手で包むように持ち上げられて、いつもみたいにゆっくり、そっと、じゅんくんの唇が触れた。
柔らかくて。
甘くて。
大好きな、じゅんくんのキス。
何度も角度を変えて、触れては離れて。
少し開いた唇で、食むように啄んで。
その動きに合わせて、ちゅって鳴るリップ音。
その音がオレの中の熱を上げていく。
じゅんくんもそれは同じみたいで。
唇だけだったキスが、顎に、耳に、首筋に降りて。
・・・声、出ちゃいそう。
だから、手の甲で自分の唇を塞いだ。
「・・・かず、声出していいよ。」
「んっ・・・やぁ」
いくら階下とはいえ、お姉ちゃんがいると思うと恥ずかしい。
そしたら、じゅんくんが投げたスマホを取って操作して。
スピーカーから流れる曲の音量を上げた。
「これなら、大丈夫だろ?」
そう言って、今度は絡めるキスをしてきた。