お嫌いな方はスルーで。
リビングに降りると、たい焼きとお茶が用意してあった。
3人分。
あ、母さんも一緒にお茶する気なんだ・・・。
何でだろう、ちょっとガッカリ感がする。
ソファに並んで座って、いただきまーすってたい焼きを食べて。
「あったかい。美味しいね!」
「少し焼いたの♡どうせなら美味しく頂きたいでしょ?」
ふふって笑い合うかずと母さん。
かずくんは頭からなのねー♡とか、
外側のパリパリのとこも美味しくて好きー♡とか、二人で話してる様子は何か女子会みたいで。
・・・まぁ、いいけど。
「潤とは何がきっかけだったの?♡」
「・・・っぶふ!!」
いきなり母さんがぶっ込むから、お茶を吹きそうになった。
きっかけ・・・
きっかけ?
付き合いだした、きっかけの事・・・?
「帰り道が途中まで一緒で、それで仲良くなったんです。」
答えたかずに、あぁそっちのきっかけね、って思って、一人で焦ってた自分が恥ずかしくなった。
「そ、そう!帰り道!」
ねーって見つめてくるかずに、オレもねーって返した。
焦ってたのがバレてるのか、クスクス笑ってるかず。
「潤、頑固だからかずくんが振り回されてない?」
「じゅんくん、優しいですよ?」
そんな二人の会話を、何だか擽ったく聞いてた。
おやつを食べて、そのままリビングで課題を広げた。
「かず、今日は何?」
「化学と古典。あと、月曜に英語の小テストあるからその辺やろうかな。じゅんくんは?」
「・・・オレ、数学の小テストある。後は世界史と漢字。」
お互いはぁーってため息をついて、
よし!やろっ!ってテキストを開いた。
わからないトコは教え合ったり、世界史の問題やってたのに全然関係ないゲームの話に飛んじゃったり。
「ジュース、置いとくからね♡母さん買い物行ってくるから、お留守番お願いね♡」
運んでくれたジュースをテーブルに置いて、
いつものエコバッグを手に出掛ける母さんを
二人で行ってらっしゃーいって見送った。
そっか、今なら二人きりなんだって。
何か、
なんか、
なんか・・・
テキストを見ながらノートに答えを書いてるかずを見た。
なんか・・・
・・・ね?
シャーペンの先で、かずのほっぺをつつく。
つんつん。
「んー?なに?」
顔は上げてくれなくて。
だから、もう一度。
つんつんつん。
「なーんだよっ!」
笑いながら、今度は顔を上げてくれたから
「かずー。」
両手を広げた。
「・・・もぅ。」
口ではそう言いつつも、ポスンと腕の中に収まってくれたかず。
そのまま二人でラグに転がった。