天地明察 | 【ラビット病】

【ラビット病】

タイトルは大好きな山田詠美作品の中から。

久しぶりの、きちんとした読書レビュー。


2010年本屋大賞受賞作【天地明察】冲方丁著


天地明察/冲方 丁
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江戸、四代将軍綱吉の御代。戦国期の流血と混迷が未だ大きな傷として記憶されているこの時代に、ある「プロジェクト」が立ちあがった。


即ち、日本独自の太陰暦と作り上げること。


武家と公家、士と農、そして天と地を強靭な絆で結ぶこの計画は、そのまま文治国家として日本が変革を遂げる象徴でもあった。

実行者として選ばれたのは、渋川春海。碁打ちの名門に生まれながら安穏の日々に倦み、和算に生き甲斐を見出すこの青年に、時の老中、酒井雅楽頭が目を付けた。


「お主、退屈でない勝負が望みか?」


日本文化を変える大いなる計画が、始まろうとする。




天地明察、言葉通りの作品。

天と地の理を解いたっていう意味でも。

自分の存在価値、生涯をもって成すべきことを見つけた、っていう意味でも。


「必至」って、言葉の重みを感じた。


何かを成し遂げようとしている人って、それ相応の努力と挫折の繰り返しを経験しているんだな。

じたばたと格好悪くもがいても、必死な人って、やはり格好良いもの。


春海が、愚直でひた向きで、とにかく好感が持てた。

その春海を、見守ってくれたり、手を貸してくれる人たちも、とにかく凄い。素敵。


なによりも、この作品、実話っていうのが、凄い。
(実話を元に、の方があっているのかな?)


物語の中盤までは、算術の下りはちんぷんかんぷんだし。

「暦が間違ってる」っていう感覚を持たないわたしには、いまいち理解出来なかったんだけれど。


今日が何月何日であるか。その決定権を持つとは、こういうことだ。

宗教、政治、文化、経済・・・全てにおいて君臨するということなのである。


鳥肌が一気に出た言葉だった。

それまで、登場人物の人柄や人間模様にだけ、面白さを感じてたんだけれど。

このシーンで、面白さの幅が一気に広がった。


ここまではっきり言葉にされないと分からなかった自分の無知さには、がっかりしたけれど。

本当、日本を揺るがす、一大プロジェクトだったんだな。

これを、一人の碁打ちが中心になって、成し遂げたのだから。


なんか、想像出来ないほど、大きい。


それからは、“からん、ころん” この言葉の出てくる度、泣かされる始末。


なんか、久しぶりに、読んでて楽しかったな。

本って、最大のエンタテインメントなんだな、って感じられた。



興味がある人は、是非。

機会があったら読もう、いつか読もう、じゃ、勿体ない作品だと思う。