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摂食障害卒業🔯小説マンガ(6話)
~何も問題ない~
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すっかり日も暮れ
辺りはしんとした木々が茂る車内。
ここが何処かも分からない位に
夢中でカミングアウトし続けた私は
ただただ、
タケルの反応だけが気になっていた。
だって私は、
これまで出す事を怖れて隠してきた
思春期に犯した数々の過ちや、
過食嘔吐が止められない心境、
過去の恋愛での自分のヒドさ、
現状の乱れた生活。。。
そういった自分の汚点を
思い付くまま、ぶちまけていたから。

戸惑った。
だって、これまでの話を
全部聞いていたくせに、
何の質問もなく、顔色も変えずに
いきなり答えを出すから。
「何も問題ない」
タケルのその一言は、
あまりにも分厚く、大きく、優しく
私の冷えて震えた心を
そっと救い上げて包み込み、
一瞬で温もりの中へと導いてくれた。
目頭は熱くなり、
胸の辺りは
日向ぼっこをしているかのように、
ジワジワ、ぬくぬくと温まり
ぽわ~っとしていた。
けれど。
私に長年へばりくっついた
ネガティブマインドな頭は、
それでも最後のアガキとばかりに
タケルに食らいついていた。
私「タケルは、摂食障害の事あまり知らないでしょう?だから、そんな簡単に大丈夫って言えるんだよ。どんな弊害があるかなんて、分からないでしょ?」
タ「うん。だから、これから調べるよ。
一緒に居れば、もっと早く分かるし、
対処も出来るしょ?」
私「今は捨て身でこうやって全部ばーって喋ってるけど、さっきも話したみたいに、普段は過食して吐いても、そのことについて触れたくないの。考えたくないの。」
タ「うん。いいんじゃない?
まぁ、また話したくなったら話すで。」
私「・・・でも私、過去にあんなことした人間だし。。。」
タ「関係ないでしょ。過去は過去だし。
今はそれをしようとは
思ってないんでしょ?」
私「もちろん!もう二度とイヤだよ!」
タ「じゃあ、問題ないじゃん。」
・・・・・・。
完全に完敗だ。
この人に何を言っても、
私を安心させる事しか言わない。
しかも何だろう。
この不動の安定感。
『その場の勢い』とか
『苦し紛れに』とかじゃないの。
完全に『何も問題はないよね?』
と言うスタンスで、
『問題が起きた時に対処すれば大丈夫』と
一貫して答えてくれる。
どうやら、私の話したことは全部
タケルの中では
『 許容範囲内 』だったらしい。
なんだかもう、
完全に脱力してしまった。
あぁ、もう。
私は、この人のことが好きだ。
こんなにもグチャグチャな私の、
「過去の過ち」「現在の苦しみ」関係なく
好きだと言ってくれる。
そんな彼に、これ以上「私は粗悪品だ」
という自虐的なプレゼンは出来なかった。
彼と生きよう。
20XX年04月12日
地球滅亡の危機に脱出し遅れた私は、
この日、タケルと共に
新たな宇宙船に乗って出発した。
夜空にたくさんの星が輝く、
この世のものとは思えないほどの
美しい景色だった。
それから半年後の
同年10月12日。
私たちは入籍し、新居に移り住んだ。
知り合ってからは6年以上、
付き合ってからは6ヶ月丁度で
結ばれたその日は、
はからずも『コロンブス・デー』という
新大陸到着を祝う日だった。
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