まるでTwitterのタイムラインのように

 

日々新しい情報が流れ込んでいく

 

 

新聞、テレビ、インターネット

 

いろいろなところから、いろいろなことが

 

耳をふさいでいても聞こえてくる

 

 

 

地球の反対側で起きた突然の災害のこと

 

この国で起きた政治の不祥事や揉め事

 

芸能人の祝福すべき結婚の報道

 

理不尽な理由による痛ましい殺人事件

 

 

 

優先順位も人によってばらばらで

 

たわいもない情報から身近な話題まで

 

 

 

真剣に向き合わなければならないことや

 

聞き流しても構わないこと

 

 

そして、忘れてもいいことや忘れてはいけないこと

 

その他いろいろな嫌なニュースが

 

ごちゃごちゃになって

 

 

私たちはただそれを傍観しているだけで

 

大切なものとそうでないものが

 

だんだん区別できなくなってくる

 

 

 

テレビで無機質に報じられる

 

情報の洪水の中で

 

 

見失ってはならない何かが

 

忘れ去ってはいけない何かが

 

きっとあるはずなのに

 

 

それさえも忘れ去られ

 

どうでもいいような情報に流され

 

たいせつなものを見失っていく

 

 

 

深く考えることもせずに

 

ただ、ひたすら新しいことを追い求めていく

 

 

その末路にあるのは

 

「そうだったんだ」と割り切れる

 

冷たくて単調な心だけ

 

 

 

そして、人は悲しいことに

 

「逃げている」ということさえ

 

 

だんだんとわからなくなって

 

やがて自覚しなくなっていく

 

 

目の前にある楽しいこと笑えることに

 

目をそらしてしまうもので

 

 

それを全力で楽しんでいるうちに

 

都会の雑踏に紛れ込んでいるうちに

 

友人と楽しく談笑しているうちに

 

 

 

だんだんと、忘れてくる

 

 

 

忘れてはいけないたいせつな何かが

 

そこにあったとしても

 

 

 

それを忘れ、「当たり前」の日常に

 

人々は帰っていく

 

 

 

 

まるで、そんなことなどなかったかのように

 

 

 

 

それでも、「当たり前」は当たり前なんかではなくて

 

「日常」は日常なんかではなくて

 

いつか、あっという間に

 

気づかないうちに崩れ去ってしまうもので

 

 

 

他人事にできる冷たい心

 

「どうでもいい」と割り切れる心

 

 

その「誰か」も人間で

 

あなたと同じように

 

「今日」という日まで生きていたのに

 

確かに生きていたのに

 

 

そうやって「誰か」の存在が忘れ去られ

 

「誰か」の生命が忘れ去られ

 

時代の波に消えていく

 

 

 

 

「遠い世界のことなんて」

 

 

 

 

そう、言わないために何ができるだろう

 

そう、言ってしまう私たちだから

 

 

その誰かも自分なんだ

 

自分と同じように、私と同じように、あなたと同じように

 

 

生きてきたんだ、今日まで

 

 

忘れてはいけない

 

そういう人がいることを

 

そういう痛ましい事件や、事故

 

そういうものがあったということを

 

 

忘れてはいけない

 

そこに「誰か」が生きていたことを

 

 

忘れてはいけない

 

その「誰か」の生命の鼓動を