彼女が口にしたのはLAの日系人の間ではそこそこ有名な事件で、TVに出ている有名人の親戚が絡んだ、本当にあった事件の話し。
事情を詳しく聞く事にして話を続けると、どうやら主に電話での会話が聞かれているらしく、電話を切らずに社長にその旨を手短に話し、直ぐに電話を切りPacific Bell（地元電話会社）に連絡して、回線が盗聴されているか調べてもらうようにアドバイスをした。
これでは仕事にはならないが、急を要すると判断したので仕方が無い。
仕事自体はもちろん営利目的だが、大儀は『人助け』なのだから、こんな事もある。
それに、この対応がよい結果を生んでくれれば、彼女が会社の宣伝をしてくれるだろう。
電話を切って約1時間程して、また同じ人物から電話があり「Pacific Bellに連絡したところ、回線の電圧にすこし異常が見られるとのことで、直ぐに技術者が見に来てくれたが、異常は無かったと言われた。ありがとうございました。」と報告を受けた。
Pacific Bellも内容が内容だけに対応が早かったんだなと感心しながらも、「良かったですね」と伝え電話を切ろうとすると、「料金は支払った方がいいですか？」と聞かれたので、必要ない旨を伝え、「また何かあったら連絡下さい。」と、お決まりの営業用のセリフを吐き出して電話を切った。
昼近くになって、別の日本人女性からの問い合わせで、盗聴だけではなくHate-crime（人種差別による嫌がらせ）と思われるふしがあったので、先ずは現地に行ってみる事にした。
行った場所は白人の多く住む地区で、周りに日本人は殆どいない、所謂中流階級の住む地域。
内容が内容なので、ご主人にも同席して欲しい旨を伝えておいたが、約束の時間に行ってみると、待っていたのは依頼人の日本人女性一人。
どうやらご主人には心配をかけたくないので、ギリギリまで話さないでおきたいとの事だった。
話しを聞くと、白人の住む地域に日本人が住んでいる事に地域住民が反発しているらしく、妙な噂を流されたりしているが、その内容が家の中でしか話した事がない内容だったり、外出先から帰って来た時に閉めたはずの2階の窓が開いていたり、判読不能のメモが家の中に落ちていたりした事もあり、こんな状況がもう2年近く続いているらしい。
話しを聞く限りは住居不法侵入の可能性もあり、なかなか深刻な内容と思われたため、依頼を受ける事にした。
- 人種差別の帝国/矢部 武
- ￥1,000
- Amazon.co.jp
やっぱりあるんだよね。
しかも本人が意識してないってのもあるからタチが悪い。。。
www.dff.jp