ことわざ漫談小話
ことわざ小話 301~400
雀の涙
雀の涙
K368「雀の掛け算」20230905
仕事は後期高齢者の75歳で全て辞めた。それから2年経った今はこれといった収入もなく、小さな畑を耕し、年金だけで生活する老夫婦だ。
その生活は収入も出費も「雀の涙」で、そのやりくり算段は「雀の涙」ならず、忘れかけた「雀の掛け算」となった。
年金 もう少し多いと良いね
贅沢を忘れ、腰や膝の痛みを宥め、その日その日を何事もなく暮らすようになった。不自由ありきの悠々自適はまさにこれを言うのであろうか。会社勤めの長いトンネルを抜けても、今でも変わらず悩ますのが忍耐と我慢、それに努力だ。
その生活は、何を並べても小さな数で家が守られている。その小さな数を、それを何度も繰り返す。即ち、雀の掛け算、それは値の小さな数の掛け算での暮らしとなった。
雀の学校
あ!? 先生が遅刻や
仕方ないなぁ、先生だって スズメやないか
それも、2×3は6と、リズムカルにすぐわかる。だが咄嗟の8×7とか、9×8になるとリズムが途切れ、えーと、幾つだっけ!? と脳ボケも重なってピンとこなくなった。
普段やらないせいもあって、答えても何やらそれに自信がないのだ。朝晩稽古に余念がないまわりの雀にバカにされる。雀の学校に教わりに行かねばならなくなる。
もし、8円のものが9個集まれば幾らになるかは咄嗟に分からぬようでは、人さまに、うまくとってかわされることだってある。小学生低学年に「ようこれまでいきてこられたなぁ」と、笑われる。
おーい 誰か8の段間違えたぞ。
しっかり覚えろ
私じゃないわ
笑われても間違いだらけの人生だったから仕方がない。本当によく生きてこられたと反省もする。
村人はお年寄りを騙すことはないだろうが、訪問商いといって、欲が深い気まぐれに人を騙す慣れたよそ者には注意がいる。その者たちは、三桁や四桁の掛け算などは立派にあれこれと応えるから損得の計算がとにかく早いのだ。
掛け算九九なら、僕にまかして
それだから、見知らぬ他者に負けてはならぬと八の段、九の段の掛け算九九を再び習いはじめた。
はじめると、幼いころを思い出しそのリズムに乗るのは早い。今では、えーと、幾つだ?それがなくなった。
簡単な計算ができることは相手からも喜ばれる。高齢者にとって、小さな数の計算は意外と大事なのだ。
それでは雀の涙ならず
「雀の掛け算」川柳をお一つ
「ちゅんちゅんと
今朝も雀と掛算九九」
はーい、まだまだ元気に過ごしたいですね。
朝と夕方の雀の鳴き声を聞くと
チュンチョンと算盤の音や、
ガヤガヤ騒いでいるあたりは大勢での
掛け算九九の読み上げに聞こえるのです。
雀は予習や復習がすきなんですね。
♬ zard 歌 引用
負けないでもう少し
最後まで走り抜けて
どんなにはなれてても
心のそばにいるわ
追いかけてはるかな夢を
それでは、また次回お会いしましょう。






