ことわざ漫談小話
ことわざ小話 151~200
176「豚に真珠」
この「豚に真珠」とは、価値の分からないものに貴重なものを与えても何の役にもたたないことをいっています。これに類似することわざは他にたくさんあります。それではばかばかしいおはなしです。
「これは貧乏な神さま、酒になさいますかご飯になさいますか、それともお風呂になさいますか?それとも・・」
「それとも、何じゃ?」
「余りにも貧乏なお姿の神さまですから、小判にしますか?」
「何?小判」
「へぇ、今日の小判はピンピカに輝いています」
「うむ・・小判ではなく、ご飯にしろ。それになぁ、わしの好きなきんぴらごぼうを添えてくれ」
「え!きんぴらごぼう・・はい、それではご飯にきんぴらごぼうでようございますね?」
「ああ、それから少々の酒も頼む」
「お酒も一緒で、はい、かしこまりました。それでは少々お待ちください」
それからしばらくすると膳が出てきた。
「これ、これなる黄色いタクワンらしきへんてこりんな三切れは、要らぬ」
「え!要らぬ?・・へぇ、これなるタクワンは日本一のタクワンと申して、タクワンの格好した小判の化け物でございますが・・」
「何!タクワンが・・小判に化けた?」
「へぇ、嬉しいじゃございませんか。タクワンが小判に、へぇ、そのようでございまして」
「それでは主殿、この小判を、今度は狸や狐に化かしてはくれないか」
「神さま、それは何故にございますか?」
「うむ、わしはなぁ、小判より酒と、その酒の肴の狸や狐の舞いが欲しいのだ」
「困りましたなぁ、せっかくこうして化かしたのに」
「そのような苦労はせずともよい」
「それではこの小判は狸や狐になっても小判にはもどりませぬが、よろしゅうございますね?」
「わしは小判より酒と、その肴の舞いというたではないか。それに、きんぴらとご飯があればそれで良いのだ、アハハハハ」
「こりゃ欲のない貧乏な神さまだ」
「あ、これ、きんぴらごぼうはどうした?」
「へぇ、タクワンが狸で、きんぴらは狐に化けました」
お後も宜しいようで「豚に真珠」でした。
ドングリを叩いて小判に変えようと一生懸命な げんごろう