笑いのつぶやき
笑いの散歩101~150
118「悪態をつく」
悪態とは、憎まれ口をいう。或いは、そのような態度の悪さをいいます。悪たれ口、悪たれをつくなどに使います。それでは、寺の小僧の悪たれの巻きです。
「こら、小僧」
「へぇ?おらかなぁ」
「おらではない。お前はヒマ際あれば修行もせず昼寝をしおって、お前の、その口元にはアンコがついているではないか!さては、お供えの、ぼた餅を盗んで食ったなぁ」
「え?おらぁの口に・・アンコが付いている??」
「とぼけるな。お供えのぼた餅を盗んで食って、まんぷくになって、ところかまわず寝転んだのだろう。それに違いあるまい」
「え?和尚さん、それは違う」
「何だとう?それは違う?!これ、嘘を言うではないぞ。御仏に仕える者が、しかも、御仏の前で公然と鷽を言うようでは、この寺から出てってもらわなければならぬ」
「だから、この、俺等の口元のアンコは、ネズミが、俺等が修行で疲れて横になった時、ねぇ・・だから、俺等がちょっと寝込んだすきに付けたものだ」
「何?その口元のアンコは、寺のネズミが、お前が寝たすきにつけたものだ?」
「そうだよ、それに決まっている」
「なぜ、ネズミがそのようなことをせねばならぬ?」
「え?そんなことも分からないのか。だって、ネズミがぼた餅を食ったのが分かると、ネズミを追いかける猫が増えて困るからだ」」
「何?ネズミがぼた餅を食ったのがバレると、ネズミを追いかける猫が増えて困るからだ?それで、ネズミがお前の寝ているすきにソーット近づき、お前がいかにも、ぼた餅を盗んで食ったようにアンコをつけたというのか?」
「ああ、それに違いない、和尚さん」
「これ、小僧。悪態をいうではない。お供えのぼた餅は、上のほうだけきれいに三個なくなっている。この寺のネズミは修行が好きでも、几帳面に上だけのぼた餅を取って食うようには教え込んでいない」
「え?それじゃ、背伸びの上手な、でっかいネズミだ」
「こら、背伸びの上手なネズミはお前なのだ」
バレたら仕方ない。和尚さんに謝ってしまいましょう。腹が減っては修行だって身に入らなかったのだ。まんぷくになってきたら眠くなるのも子供は元気な証拠だよ。
ぼた餅が食べたくなった 源五郎