笑いのつぶやき
笑いの散歩101~150
115「執念深い」
この執念深いって、どのようなことかお分かりになりますね。そうです、しつこく思い込んで、そのことを忘れないでいることです。さぁ、どのようなときに、このような執念深いとなるのでしょうか。それでは笑い話しを拵えてみます。
「係長、いつまでウナギの古傷に触っていると、執念深い男といやがられますよ」
「え?俺が執念深い男だぁ」
「そうじゃないですか、過ぎ去ったことはくよくよしないほうが、男の中の男というものですよ、ねぇ、係長」
「それがなぁ、俺はすんなりあきらめられないのだ」
「どうして、すんなりとあきらめられないのですか、ねぇ、係長」
「だってなぁ、お前と一緒に昼飯食うと、必ず俺が昼飯代払っているじゃないか。先週だって、先々週だってそうだろう。一昨日は鯖定食、昨日はカレーライス、それに今日はウナギじゃないか。ええ、今日のあのウナギ、いくらだったと思う、ええ、山田?」
「だって、今日の昼飯のウナギは係長が、食べたいと言ったウナギじゃないですか?」
「だって、お前はウナギと言ったか?」
「ええ、僕はラーメンでよかったのに、係長が俺を誘うからいけないのだ」
「おれは誘ってなどいない、ウナギ食いたいなら、たまにはお前が払えと目で合図したのだ」
「それがいけないのだ。あれは、お前も一緒に食えとの目の合図だった。それだから、てっきり日曜日のお馬さんのレースでまた儲けたかと思ったのだ」
「ああ、今日はウナギ二つで四千五百円とられた。明日は山田のおごりだ」
「ええ?僕が・・」
「なぬ、明日は僕がおごりますと、なぜ、言えぬのだ、こら、山田」
「明日はコンビニのおにぎり一個百円のものです」
「ああ、ウナギ、うまかったなぁ」
お後もよろしいようで「執念深い」でした。
毎日昼飯代二人分じゃせつないですなぁ。係長があまりにも優しいからいけないのだ。お金のことははっきり言わないと執念深くなるどころか損をすることになります。え?お馬のかけっこでもうけた、それなら、ご相伴にあずかってもいいじゃないですか・・ねぇ。
お馬のかけっこも知らない 源五郎