ことわざ漫談小話
ことわざ小話1~50
38「昨日のつづれ今日の錦」
このことわざは栄枯盛衰の変わりやすいたとえであります。この「つづれ」とは、ぼろの着物、破れた着物をつぎはぎしたものを言います。ですから、きのうまで貧乏であったものが、今日になったら裕福になったという変わりやすいたとえです。それでは毎度のばかばかしいお話しです。さぁ、今夜は「マツタケで一杯だ」の巻です。
「あれ?これ、熊。どうした?ええ、たいそうなご機嫌だねぇ」
「当たり前だ、今日は機嫌だって良いのだ」
「また肉屋のサブちゃんと将棋で勝ったという話か?」
「誰が、ええ、そんなケチなこと俺さまが有頂天になるかって」
「え?ウチュウ・・テン。それじゃ熊はウチュウにいったのか?」
「チエ、これが俺の友人だ。マッタク泣けるねぇ」
「何だとう、このやろう。マツタケだ?まだ、秋でもないのにマツタケが出るわけがないだろう。魚屋だって季節感はあっても良さそうだが、そんな季節も知らねぇから、突然こんなところにマツタケが生えてくるのだ」
「何だ?ええ、俺のこの嬉しい原因が、何でか、本当に知らないのか?」
「知らねぇから、熊がおかしくなったかと心配しているのだ」
「それじゃ話そう。おれはなぁ、先週買った宝くじ一枚で、ほれ、この三千円あたったのだ」
「何だ?宝くじが・・三千円・・当たった!?」
「どうだ、ええ三千円だ、うらやましいか、ええ、八ちゃん」
「バカ、そんなことでウチュウに行ってどうするのだ。とんでもないウチュウに行くより、それでマツタケでも買って、それでもってなぁ、今夜のおれたちの酒の肴にしよう、なぁ、熊」
いいですねぇ、マツタケでいっぱいなど最高ですね。そうです、いつまで楽しんでいるより食っちまったほうが健康にはイチバンです。
どんぐりをマツタケと間違える 源五郎