ことわざ漫談小話
ことわざ小話1~50
27「口は禍の門」
それではこの「口は禍(わざわい)の門(かど)」と言うことは、うっかりしたことをいうと、それが不幸を招く原因になる。即ち、口はつつしめといういましめです。それでは毎度のばかばかしい落ちたくもオチない小話です。
「良いか、思っても言っちゃいけないよ。何せ口は禍の門というからなぁ」
「それじゃさぁ、良い考えが浮かんだらどうすりゃいいのだい?」
「だから、こりゃ良い考えと思っても、口に出しちゃダメだ」
「え?ダメなの。これまでにない良い考えだよ」
「あのなぁ、そのようなものに限って、われ先と口に出したがるものだ。しかし、禍があっては困るから、浮かんだそのいいものでも心の底に沈めておくのだ」
「ああ、昇給の進言を考えていたのに、真面目な係長は無欲だなぁ。係長の爪を煎じて飲まなきゃ俺もダメかなぁ。俺なら、内緒にして、みんな聞いちゃうもなぁ。だって、昇給だよ。禍どころか、これは福の門だよ・・ねぇ」
ああ、勿体無い。いらないならこの源五郎がもらいます。え?お前には関係ないから沼の底に沈んでいろ、ですって・・そりゃ、ないでしょう。
昇給も分からない 源五郎