笑いのつぶやき
笑いの散歩
「渡る世間は鬼だらけ」
渡る世間に鬼はなし、と言うが、それはウソだね。渡る世間の周りは鬼だらけだ。
ほれ、さまざまな鬼がいるではないか。
その1
安くなっている品物をもっとまけろと値切るお客(おばちゃん)を、俺は「鬼が買い物に来た」というのだ。だってなぁ、鬼は強いうえに金棒を持てば更に強くなるから、安くなっている品物を言葉巧みになりゃ更に安くできるのだ。だから、鬼が来て買い物すりゃ、俺の顔だって、鬼のように赤くなったり青くなったりするのだ。
その2
昼飯食いに食堂に入ったら、席がないのか土建風の男が俺の目の前の席に腰掛けた。そのヤツは携帯電話のメールに夢中になって、天丼を頼んでおきながら何を注文したのか忘れ、俺が注文したカツ丼に「ハーィ」と応えて手をあげたから、そのカツ丼は俺が注文したのだと言ったら、気の弱い俺を睨み返すのだ。ありゃなぁ、まだ若く見えるが、何を注文したか忘れるあたりはボケがはじまった認知症の鬼だよ。だけど、何を注文したか忘れるといっても、食い物の睨みあいはおっかないな。そんな嫌なおかげで、うまそうな俺のカツ丼は、鬼瓦のような目の前じゃ、何を食っているのかさっぱり味がしなかったよ。(文章が長くてごめんね)
その3
昼に出前を頼んで、さぁ、これからラーメンを食べようとしたら、いつも愛妻家の弁当を持ってくるヤツが「悪いなぁ、汁だけでいいからちょっと飲ませて」というから、ラーメンの丼を渡したら麺まで食うヤツ。俺はこれを「メンクイの鬼」と呼んだ。
その4
自分が悪いのに、部下を怒りながら屁をひる上司を、俺は「しまらねぇ鬼」と笑った。
その5
これから仕事があるのに、二日酔いで困っていたら、「飲めば直る」と、一緒に仕事するヤツが酒とコップを持ってきて、自分も呑みながらしきりと迎え酒を飲ませようとする。そのヤツを俺は「酒の鬼」という特別な名前をつけてやった。