ようやく気温も下がり傾向で、ミンミン蝉がツクツクボウシに入れ替わり、夏の終わりを近づいたことを実感します。


相変わらず多忙で趣味事が何もできずの日々を過ごしておりまして、ブログネタがありません😓。だからというわけでもないのですが、当ブログでは山の魅力を記事としてアップすることが多いので、山に関する様々なリスクについても描いておこうと、以前から思ってました。


あまり経験豊富というわけではないですが、登山中に見聞きしたり体験をもとに注意するべき事項を書いてみました。最近は、遭難者が多いのか報道が増えたのか、そういうニュースを頻繁に目にするので、これから登山を始めてみようと思う方に参考になればと思います。



◆山岳遭難は道迷いがダントツ1位

※YAMA HACK

 

山で遭難する原因で最多は道迷いです。年によって多少の割合の違いはありますが、大体同じようなものです。





◆どこが道なのか解りにくい場所が多い

しっかりした林道で他の登山者がたくさん往来するような場所では迷いにくいです。ですが、ずっとそんな道が続くとは限らないのと、低山で人気が少ない山や破線ルート(メジャーではない道)を歩く場合には、どこが道なのかわからない場所がたくさんあります。



山にもよりますけが、こんなわかりやすい林道ばかりだったら迷いません。

ところが急に狭くなったり荒れていたり、人気の少ない場所になったりと、様相が変化する登山道がほとんどです。

 

 

 

そういった紛らわしい場面をいくつか見ていきましょう。

 


木の間隔が広いと道に見えやすいです。

右側に道が続いているようにも見えますが、左が登山道。




倒木でわかりにくいですが、まっすぐです。谷をどんどん上に向かって詰めているところです。






どう見ても左側に道が続いてますが、その先は行き止まりで、右側の狭い木の間を抜けて行のが正解です。





ロープが張ってあるので間違うことは無いですが(しっかり整備されている!)川沿いにまっすぐ進むのが正解のようにも見えます。





右側の間隔が広いので道のように見えますが、左側の狭い方が登山道です。





川岸にしっかりとした道がありリボンもありますが、まっすぐ行くと滝に出くわしてしまい進めなくなります。道とリボンがあるからと言って必ず進めるとは限りません。

ちなみにこの時は、斜面をかき分けて強引に尾根の上にある登山道に出ました。



リボンは登山道の目印になりますが、林業の方が便宜上付けたものや、他意で付けられたものも存在するので、参考程度に見るようにして100%の信用は置かないこと。リボンだけを頼りに奥へ進んでしまい戻れなくなって遭難に至るケースもあります。







◆振り返ると歩いてきた道がわからない

迷った時に、「少し先の様子を見に行ってこよう」と考えて進んで行く場合、周囲の景色など記憶に留めながら進むことになると思いますが、「今ならまだ戻れる」と、思って振り返ってみたら、もう自分がどこから来たのかわからない。経験上から言うと数分でも歩けば正確に元のルートを辿るのは難しいと思います。





◆登山用GPSアプリは有効

アプリ使ってる人は、だいたいヤマップかヤマレコかと思いますが、事前に地図をダウンロードしておくことで電波が届かなくても使えます。自分の現在地と歩いてきた軌跡を見るだけなら、どこの地図でも大丈夫です。ルートを表示するには山域を選んでダウンロードしておきます。バッテリーの消費を抑える為に、行動中は機内モードにして更に予備バッテリーを持っておけば安心です。




◆頼り過ぎは良くない

登山用GPSアプリを使って登山していると現在地やルートを見失うことが無い安心感が、かえって落とし穴にある場合があります。アプリにたよりすぎて、登山口から山頂に向けて自分がどの方角に歩いているのか、登ろうとしている山域が大体どんな地形になっているのか、など知らずに歩いている人がほとんどかと思います。しかし、迷ってしまった時に転倒やスマホの水没、バッテリー切れなどのトラブルでスマホが使えなくなった場合、状況によってはその瞬間に遭難が確定してしまいます。最近のスマホではメモリ不足によるフリーズはほとんど起こらないと思いますが、何年か前にフリーズしたので再起動したら軌跡が全部消えてしまったことがありました。







◆コンパスと紙地図で現在地を割り出すのは難しい

山の中で迷ってしまい、しかもスマホが使えなくなってしまった時のために、紙地図とコンパスを持っておく。といった記事をネットで見かけたりしますが、それ以前に自分の現在位置がわからなくなってしまえば、地図から自分のいる位置を割り出すのは困難です。



山の地図を見ればわかりますが、山の地形は尾根と谷が交互に並んだ地形が無数にあります。

尾根と谷の連続なのでデコボコしてますね。




そして自分の目の前にも尾根と谷しか無いわけで、

(尾根から谷に降りようとしているところ)

これが地図上のどこの尾根と谷なのか、よほど特徴的なものが無い限り判別は困難です。

 


それと、山の中はほとんどが樹林帯で太陽がどこにあるのかわかりにくいし、尾根や山頂に上がっても周りの景色はしっかりと見えません。山頂や尾根に上がれば景色が見えるから方角がわかると言いますが、周囲がすっきりと見渡せる場所は、ごく一部です。

(山の中では樹林に囲まれるので周りの様子や太陽の位置は見えにくい)





(山頂や尾根に上がってもスッキリ見渡せる場所は少ない)





なので、スマホが使えなくなった時に地図とコンパスで代用する為には、自分の現在地を見失っていないことが大前提です。スマホアプリを使いつつも、地図上のどこに自分がいるのか常にチェックしておきましょう。登山前のルート予習と、行動中も時々画面を広域にして現在地を俯瞰で確認しておくだけでもいざという時には役立つと思います。



(雨に濡れることを想定して地図をビニール袋に入れてます。コンパスは登山用のものを使用すること)

コンパスの差す北と地図上の北は約7度ずれています(コンパスは北極点を向いていない)。一キロ歩けば123メートルほど目的地からずれる計算になりますね(tan7×1000m)なので、コンパスをあらかじめ補正した状態でセットしておく必要があります。



◆その先がわからない場合は行かない

登山道から外れてしまったり迷ったりなど、元の場所に戻れなくなってしまった場合を想像してみます。

 

 

尾根に上がれば登山道に戻れると予想して、道なき急斜面を木や岩を掴みつつ登っていく、ありがちなシチュエーションです。
結構な急斜面であっても手掛かりや足掛かりがあれば意外と登れるもんです。そしてある程度上り詰めたところで更に角度が急になり、これ以上登るのは危険と判断したとします。すると、その後は今登ってきた急斜面を下ることになりますが、下りは登りに比べると格段に難易度があがります。斜面にしがみ付いた姿勢では、一つ下にある足掛かりに足を降ろそうと思っても見えないので、足でさぐりさぐり踏ん張るところを探しながら、しかも掴んだ岩がグラグラになっていたり掴んだ木が腐っていたりと、難易度が急激に上がります。そして、「降りられなくなるかもしれない」「滑落するかもしれない」という恐怖感と「早く降りなければ」という焦りから、注意力低下や慎重さを欠き、滑落リスクが急上昇します。


今度は急斜面を下る場合で想像してみます。目の前に谷へ下る急斜面があって、更に下の方に道が見える場合、何としてでも下って道のある所へ行きたくなります。そしてよく見ると、少し斜面を降りた先に平たい場所が見えたとします。「とりあえず、あそこまで降りてみよう。」と、急斜面を半ば滑り落ちながら目的の平たい場所まで、なんとか降りました。するとその先は垂直とも思えるほどの崖だったことがわかりました。もちろんこれ以上下ることはできません。すると今度は戻る為に登り返すことになるのですが、今度は手掛かりや足掛かりがなく滑って登ることが出来ません(降りるときは滑って下りてきたので)。そうすると、進むことも戻ることもできずに斜面の真ん中で取り残されることになってしまいます。電話するには圏外で、登山者が通ることも無い山奥で身動きが取れない状態に陥ってしまうことになります。

両方とも実際にある事例で、起こりがちなミスです。



◆YAMAP(ヤマップ)には遭難体験談が載っている(会員登録しなくても読める)

 

 

YAMAPのトップページ→マガジン→学ぶ→遭難対策

と進んでいくと遭難対策に関する記事が載っていて、遭難してしまった本人や家族の方が書いた体験談もあります。ご本人が書いておられるだけに生々しい記事もありますが、一度目を通しておくと参考になるし、心構えができます。



◆まとめ(参考)

・登山前にルートや地形、方角など予習しておく
・スマホGPSアプリを活用する
・スマホのバックアップとして紙地図とコンパスを持っておく(使い方の習得要)
・常に自分の現在地を確認してロストしないこと
・時間と装備は余裕を持つ
・最初は距離が短く難易度の低い山で実力を確認

以上、自分のやっている対策や気を付けている事柄なのであくまで参考です。