一休(ひとやすみ)@横浜市青葉台/和食/帆立ての刺身ねぎとろ定食(1000円)

幸せはすぐそばにある。
そんな風に思う瞬間がある。

どこの場所でもその地元で愛されている店や気付かない穴場な店がある。
カリスマシェフはいないし、流行の料理は無いけれども、ビジュアルはかなりヤバくても、シゴトキッチリ。気の良いおじちゃんおばちゃんが何とも良い味を出している。そーゆー店に当たるとアタタカイ気持ちになる。
そんな経験が皆さんあるのではないか。
経営技術が巧者なチェーン店やコンサルタントが多い昨今、時代に逆行していく。
彼らは紛れも無くチャレンジャーなのだ。
「ラストサムライ」の渡辺謙なのだ。

この一休@青葉台も地元で愛されている店だ。
ボクも全く知らなかったし、人にススメられなかったら100%行くことはなかったと思う。お昼オープンすぐにお店の前に立つ。
店構えもフツーさがにじみ出ているが、店内に入ると輪をかけてフツー。
いや、むしろやややばいかもしれない。民芸品やおみやげ物が根拠なくならんでいる。
大将にいたってはポロシャツで私服。
帆立て刺身、ねぎとろ定食(950円)を注文。定食が来ると今までの疑念が全て払拭される。
炊きたてピカピカのご飯、作り立てのわかめと油揚げの味噌汁、なすの揚げだし風の煮物、冷や奴。
殻に乗せられた帆立てを口に運ぶと、ほぉ~!歯ををかるく押し返すような適度な弾力。帆立ての甘さがあり、なによりも香りがあり広がる。
ご飯と一緒に口に運ぶとあったか冷たい温度の対比がさらに旨さが加速する。
後で見たら注文が入ってから帆立てを捌く。
んー。んまい訳だ。
ねぎトロはさすがに本マグロではなさそうだが、冷凍などではなく脂ののりもほどよく舌触りもよい。
ぬ、これで950円!?
チャレンジャーですな。
ただ、わさびは粉わさび。
でもこの値段じゃ文句言っちゃあいかんですよ。
奥さん。
帰り際になるとサラリーマンがわんさと。
外国の方も来店し、「ワタシ、ハマチテイショクネ」んーみなさん美味しい物は知ってらっしゃるんですねぇ。
ちなみに、ハマチ・イカ刺身定食はわさびの代わりにゆずごしょうが。イカとの相性よし。ハマチの脂の乗り申し分なし。
これじゃあ和食のチェーンにゃ行けやせんなあ。

帆立て刺身・ねぎとろ定食(950円)【味】7.7
《チャレンジャー》☆☆
《モッタイナイ》☆☆
岡半@銀座/すき焼/寿喜焼丼(1200円)昼のみ

繰り返すが銀座のランチレベルはきわめて高い。

岡半の寿喜焼丼は平たく言ってしまえば牛丼だ。
それがランチで1200円ときけば高いと思う方もいるだろう。
が、岡半で実際食べてみるとその考えは払拭される。
まず、この店は夜はフツーに食べると一人アタマ3万円くらいする高級寿喜焼き(すき焼)しゃぶしゃぶ、ステーキの店だ。曲がりなりにもその店の牛肉が、この値段!
いやいや。ケッコウじゃないですか。
もちろん値段が値段。夜と全く同じたぁ行きやせんが。良い肉のきれ端がでる。それがこの店の秘密なのだろう。
だからボクはまわりのみんなが食べている人気ランチメニューの薄焼きステーキ(1500円)やランチステーキ(1500円)を横目にこれ一本やり。

雑居ビルに入り、エレベーターに乗り店のフロアへ。と、思って降りたらそこは薄暗い廊下。
さりげなく置いてあるワインセラーを覗いて見るとシャトーラフィットやらラトゥールなど五大シャトーがずらり。
しかも70年代80年代などが。
うーん。ここで飲んだら大変な事になりそうだぞ。
やや逃げ腰で店内に入ると、鉄板とカウンターが正面にある。開放感のある窓が気持ち良く、ビジネスマンでいっぱいだ。

寿喜焼丼は牛バラやコマが玉葱が煮込まれた、いわゆる牛丼ではなく、すき焼が乗っているような出で立ち。
外国産ではなく和牛の香りが香る。長ねぎと玉葱、ほどよくたれが染みたしらたきが丼の中のアクセントとなっている。
中央にある半熟卵をつぶすとトロリと流れ肉とご飯に良くからむ。
旨い。
なによりもこの丼の楽しみは前述の通り、牛の切れ端が入る為か質の違う肉が入っている時があって、返って飽きがこない。時たまにびっくりするくらい良い牛肉が口に飛び込んで来る事がある。油断できないぞ。「これぞ牛丼のびっくり箱やぁ~」などと彦磨呂になりそうな自分を抑えつつ一気に完食。
自家製の塩こぶや香の物。さらに食後のコーヒーまでついてこの値段。
いや、頭が下がりやす。
ただ、難を言えば嵐のように忙しくてお店の人がてんてこ舞いになってしまう事がある事。
大目に見やしょうよ。
にんげんだもの。
寿喜焼丼(1200円)
【味】8.1
《チャレンジャー》☆☆
《モッタイナイ》☆
BELLA NAPOLI(ベッラナポリ)@江東区森下/ピッツァ

ナポリピッツァが大好きだ。
そうとう好きだ。旨いナポリピッツァに出会うと興奮する。
出来る事ならこのままずうっと噛んでいたいとすら思う。

今でこそ美味しいナポリピッツァのお店が増えたが、ボクが本物のナポリピッツァと出会った十年程前はほとんどなかった。薄焼き系が主流だったように思う。SAVOY(サウ゛ォイ)@上目黒との出会いは、とにかく衝撃的だった。
それからだ。ピッツァ探しにハマッてしまったのは。
そしてそして、今時点でボクのつたないピッツァ探しの旅の中でイタリア現地も含めてマイベストツーはサウ゛ォイとベッラナポリ。
ボクがナポリピッツァに求めているのは①カリッと。②もちっと。③香ばしく④生地の旨味⑤ジュースィーだ。
①と②はナポリピッツァファンなら言わずともがなで、これぞ魅力。
これをだす店は増えてきたので、今は見つけるのも難しくはない。
③④となると激減し、⑤となるとボクの知っているなかでは先程の2店だろう。

店内に入ると正面に窯があり、雰囲気はモロに現地のピッツェリアかバール。

ピッツァマルゲリータ コン ブッファラ(水牛のモッツァレラ)が運ばれてきた瞬間、生地の香ばしい香りがふんわり。
折り畳んで口に運ぶ。
ん゛―!!!
言葉にならない衝撃が走る。噛み締める生地の旨味、ところどころの焦げがアクセントとなり小麦の香りと合いなって、メリハリとなる。
そしてジューシィ。良質なオリーブオイルの香り。トマトの酸味旨味。バジリコの鼻をぬけるような香り。水牛のモッツァレラのミルキーな味香り。
うーん。ペルフェット(完璧)ですな。
いや、と言うより食べる場所によって豊かな表情を見せるので、すごくアンバランス。アンバランスなバランスというのが正しいかもしれないぞ。ナポリでもなかなかお目にかかれないんじゃないかなぁ。

他にも稀少な吉田牧場のモッツァレラを使った、コンヨシダ(2000円)。アーリョ(ガーリック)とオリガノ?が香る、自家製アンチョビのロマーナ(1600円)も秀逸。
ここに来たら、申し訳ないがボクはセコンディにめもくれず(メイン)ピッツァ三昧。
マイベストはやっぱブッファラ。

/ピッツァ コン ブッファラ/
【味】9.6
《 チャレンジャー》☆☆☆
《モッタイナイ》
(正しい評価を受けているので。)
B.G.国宝指定。
あかし@浅草/てんぷら

美味しいてんぷらが食べたい。
しかも、素材の味が楽しめるお座敷形式で、揚げた順にでてくる高級なアレだ。
お惣菜用のように時間がたつことを考えていないし、丼や蕎麦用のようにツユを含ませる事を考えていない。だから衣が必要以上に厚くない。
だが、時間がたつとすぐに中の水分が出てへたってしまう。だから最良の状態で食べさせてくれる為、職人さんが付きっきりになるから数をあまりこなせない。実に高級なのだ。で、フツーは値段を下げる為にも盛り合わせにすれば、一気に揚げられる訳だ。
が、中には低価格でも手を抜かない有り難い店もある。あかし/@浅草もそんな店だ。

路地裏に位置し、中に入ると小綺麗なカウンターのみ。
お昼のてんぷら定食はこの日はえびが2本にししとう、きす、さつまいもに穴子が半分。どれも美味しい。
特に前に置いてある山椒塩と穴子が特に好相性。
カリッとしていながらもふんわり。塩で味の輪郭がはっきりして後から香りが鼻からぬける。
ご飯も固めでボク好み。
漬物とまでなんと!1000円!
いやいや、この値段でこの内容。ありえないスよ。
チャレンジャーですな。

ただこの店、1500円のコースにしてもあまり内容は変わらず、穴子がフルサイズになりコンパクトなかき揚げが増えるくらい。
夜はコースで食べて飲んで一万円くらいは高くはないけれど。
うーん。やはり千円ランチが輝いてますな。

欠点はカウンターで小さいので昼オープンしてすぐ行かないといっぱいなのと、当然かも知れないけど揚げ手で揚がり具合が多少違う事かなあ。
ま、野暮な事はやめましょうや。
1000円でキチンとしたてんぷらがたべられるんですから。

あかし/昼のてんぷら定食(1000円)
【味】7.8
《チャレンジャー》☆☆☆
《モッタイナイ》☆
斉藤酒場@十条/酒場

レトロブームになって久しい。
レトロ調のお店もあちこち見られるようになった。
が、レトロレストラン好きのボクとしてはどうに物足りない事が多いのだ。
例えば「昭和三十年代の町並みを見事に再現!」トカ言いながら、茶髪長髪ピアスの兄ちゃんが寅さんみたいなテキ屋姿でかったるそうにしていると目まいすらしそうなのだ。
料理も「江戸前!大トロあぶり!」だとか。
ボクは大トロあぶりはすきだ。
が、昔ながらを語りながらも本来は昔はあぶりはないし、大トロを使う時はねぎま鍋だ。まるでかわいいミッキーマウスが頭をはずしたヒゲ親父がたばこを吸っているのを見たようなガッカリ感だ。
クラクラだ。
もちろん今と昔は素材だって違うし、昔がすべて良いとは思わない。
が、昔の偉人に想いをはせたり歴史のパワーをかんじたり。
そう、寺や古都を巡る。
そんな食べ方があっても良いではないか。
昭和の魂を体験したいなら斉藤酒場。
この日は4時半オープンで半過ぎに入店。
すでに席の半分が埋まり、5時には満席。
使い古された表現だが、タイムスリップしたような、いや、違う。
これは完全に昭和だ。
なによりも客が違う。ボクみたいな若造は浮いてしまっている。
フツー低価格の店は品がない物だが、人生の隅々までしっているようなおじいちゃん達が目に付く。しかも一人客だ。また飲み方がメッポウうまい。
酒は燗、冷や、樽酒の三種。
ん―なんといさぎ良い。
しかも驚愕すべきはなんと1合160円である。
驚くのはまだ早い。手作りで昭和を感じさせる、カレー野菜コロッケ2個で200円
肉など具の少ないカリカリな衣の串カツ2本で200円
ポテトサラダ200円いわし煮魚300円1000円で軽く飲めちゃう。
ん~ありえない値段だぞ。
空気、味、心意気どこを切っても昭和ですな。
ビバ!昭和!
美味しいまずいを越えてるぞ。
よくぞ世間の荒波の中生き残ってくれやした!
日本刀一本で最新鋭の武器が飛び交う戦場をぬけてきたような。
もう、やさしく抱き締めてあげたいほどなのだ。
神様どうかこのリアル昭和を残して下さいな。

【味】4
《チャレンジャー》☆☆☆
《モッタイナイ》☆☆☆

B.G国宝指定。
からく@銀座/すし

銀座は老舗や名店が多く、技術的にも質の高く、スバラシイ。
が、値段もスバラシイ。
ボクの考えるチャレンジャー、モッタイナイ良い店の基本は値段に見合っているか?が重要っス。
それは単に安いというだけでなく、例えば千円だけれど二千円の価値があればそれはチャレンジャー。
拍手を送りたいのだ。
つまり1万円でも2万円でもその何倍の価値があればボク達を幸せにしてくれるのだ。
例えば150円でフツーに美味しいラーメンであれば、ければ【味】は普通でも☆があればチャレンジャーなんですよ。奥さん。
夜だとン万円の店の料理が安くたべられるのだから銀座のランチレベルは高い。
もちろん同じ料理とはいかないし、「ウチはそんなに低かぁねぇんだよ。」的な見下し系や「安いんだからこんなもんだろぉ」的な惰性でやってる系も多いのだが。
ランチでもておぬかず名に恥じない本当にクオリティが高い店も数多い。
からくもそのひとつだ。
ランチは丼物がそろう。
づけあさり丼(1000円)はふっくら丁寧に炊かれたあさりは貝の旨味香りが凝縮。旨い。
まぐろのづけも口に運ぶと値段らしからぬ質の高いまぐろで、夜が高級店だという片鱗を見せる。
ん―、身が水っぽくなくキメが細かい。この値段だとフツーは変なびんちょうや、めばちだぞ。
固めに炊かれたシャリ。たれも良い塩梅。ただわさびは粉であったりまちまちのようだ。
この日は生わさび。
これに汁までついてこの値段。
全く頭が下がりやす。
見た目の派手さはないけれども中身を見て下さいな。お嬢さん。
良い名店ランチには訳があるらしい。
ひとつは夜の営業で質は悪くはなくともかたちが悪かったり出なかったりというやつだ。
もう一つは、若手の育成。
夜は追い回しの彼らもお昼はお客さんに直接触れ、料理をだす。
キビキビと働く彼らは一生懸命で清々しい。
まるで高校野球をみているようだ。最近はこんな修行をさせてくれる所は少ないと聞く。だって高率わるいもん。マニュアルで即戦力になってもらわないと人件費などで困るそうだ。未来の一流の板前になる為の大将の愛情なんですね。

そうそう。づけと鯛ごま和え丼(1000円)も香り高くオススメの一品。

(づけ あさり丼)
【味】7.5
《チャレンジャー》☆☆☆
《モッタイナイ》

(相応しい評価がされている為。)

〈ハルピン餃子@堀切菖蒲園 /餃子/〉
ボクはもちもちした餃子が好きだ。もっちもちのやつが。
もちろんパリパリ餃子も好きなのだが、今はもちもち系を見つける方が困難だ。
理由は色々あるとは思うが
1.パリパリの方が軽い。量もたべられる
2.生地が厚いので時間がかかる。
3.見た目もヘビィ。具もたくさん必要。
などなど。
だからパリパリ主導の今、旨いもちもち系を見つけると小躍りしたくなるのだ。

まず堀切菖蒲園という町自体シブい。シブすぎる。
駅前のリアルラーメン博物館のような通りや、「ラッキー商店街」などもう、見ただけでズキズキしてしまうのだ。うっとりだ。店はオモテから見てもオーラビンビン。カウンターは5人も入ればいっぱいだ。
この日はだれもいなかった。
開いたままで歩道と一体化したような入口を入り座る。店主がギロリとボクを見る。
「えーと、ラーメンと焼き餃子あと水餃子下さい。」ますます鋭い眼光がボクに突き刺さる。
こ、怖い。
そしてボクが言い終わるより早く「メンカタメデスカ?」
しかもやや半ギレだ。
「お、お願いします。」圧倒されてしまった。
おそらく日本ではよく固めを頼まれるのだろう。
ほどなく水餃子が。ほおばる。
なんじゃ~!こりゃあ―!!
思わず松田優作になるところだった。旨い。
生地は粉の旨さすら感じ、噛み応え十分。餡のフルボディさをガッチリ受け止める。
ん―パリパリには絶対ないパワーだぞ。
焼き餃子もパワーそのままカリッもちっ。
一級麺点師の物も何度も頂いているがまだであったことがない。
派手さはないが味わい深い逸品だ。ラーメンは今流行系のダブルだの何干しなんかではないが中国醤油?などが香る現地をかんじさせる味。チャーシューかじると五香粉の香りがするぞ。
好みはあるけどボクは好きだなぁ。
後で店主と話をするとにこやかで実に良いおじさん。いや、失礼いたしやした。

(焼き餃子)
【味】9.3
《モッタイナイ》☆☆☆
《チャレンジャー》☆☆

B.G 食の記念物に指定。