ハービー・ハンコック21 | Review

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ウイントン・マルサリスがハンコックトリオ(ロン・カーター、トニー・ウィリアムス)と共演した奇跡の一枚。メッセンジャーズを脱退したウイントンがコロンビアのプロデューサーの引き合わせで、ハンコックトリオとツアーに回り、これがウイントンの実質的な世界デビューとなった。

このアルバムのウイントンの演奏は驚異的。ハイノートの精度だけでなく、音の伸びやかさ、リズムの正確さ、巧みなフレージング、細かすぎるタンギングなど、全曲全く隙がなく、弱冠19歳にして円熟の演奏。



ウイントンのプレイに乗せられる形でロン・カーターもトニーも絶好調。バンドとしてのまとまりも良く、リラックスしながらも、緊張感と集中力が混ざり合った絶妙な演奏が繰り広げられている。アップテンポの勢いだけでなく、叙情的な曲もあり本当に素晴らしい。



全曲好きだが、あえて選ぶとしたら「'Round midnight」か。マイルスクインテットの演奏を元にしながらも独自のアプローチで新境地を開いている。「Eye of the hurricane」はどのバージョンよりも正確無比で一番完璧な演奏だと思う。ワンノート一発でかっこいいのが「A Quick Sketch」…昔コピーしかけたけど感じが出なかった…


ちなみに録音は東京のCBSソニースタジオ。

同時収録の「マルサリスの肖像」も素晴らしい。