濃い中島みゆきの作品群の中でも特に「怨分」濃厚なアルバム。
冒頭いきなり「うらみます〜」と井戸の底から声が聞こえてくる(ような気がする…)。中島さんとしてもだいぶ売れてきて、よしいよいよ、という時期だったと思うが、どういうつもりでこの曲を一曲目にと思ったのか…ただ製作の覚悟は相当だったようで、見事振り切っている。なかなかここまでの「怨歌」を聞いたことがない。間奏の尺八もけつこう激しい。
「蕎麦屋」…しんみりとしたギター伴奏とともにかすれそうな声が聞こえてくる。Wikipediaによると登場人物のモデルはカメラマンの田村仁とのこと。
6曲目から7曲目のつなぎのインストゥルメンタルは後藤次利のオリジナル。迫力のあるサウンドで、次曲「エレーン」につながる。
「エレーン」…このアルバムのハイライト。サビの部分は涙なしには聞けないが、終盤の魂の叫びでもう一度号泣してしまう。
倉本聰監督の映画「時計」で挿入歌として使われていた。いしだあゆみが小学生の娘(中嶋朋子)の手を引いて歩いてくるシーンだったような…自分の夢を娘に託すもなかなかうまくいかず、というようなもどかしい話だったと思う。
「異国」…「うらみ・ます」で充分重いこのアルバムがこのラストの曲で重量級に。ふるさとを歌った曲だが、確かに中島さんが、北海道・札幌のことを語っているのをあまり見たことがない。これほどまでに複雑な思いを抱えていたとは。


