司馬遼太郎1 | Review

Review

エンターテイメント評論(本、映像、音楽、お笑い…)



まるで一編の映画を見るような作品

素早く梁の上に隠れる、臥せて地面に同化する、切ったら羽織だけだったなどザ・忍者のベタな描写もあるが、蝶を呼び寄せる、栗鼠が話しているように見せるなど新鮮な技もあれば、「死んで貰う」と言った瞬間に相手の首が落ちるなど現代的な表現もあり、読んでいて飽きない。

登場人物が多彩で、会話も味わい深く、テンポも絶妙。

忍者の話ではあるが、歴史ものというよりは粘っこい男と女の話。出てくる女子が軽薄すぎるきらいはあるが。

さらにはオチに天下の大泥棒の伝説を塗り込めるという荒技。

変態さんもいっぱい登場で大満足。

42回直木賞受賞作品。