まるで一編の映画を見るような作品…
素早く梁の上に隠れる、臥せて地面に同化する、切ったら羽織だけだったなどザ・忍者のベタな描写もあるが、蝶を呼び寄せる、栗鼠が話しているように見せるなど新鮮な技もあれば、「死んで貰う」と言った瞬間に相手の首が落ちるなど現代的な表現もあり、読んでいて飽きない。
登場人物が多彩で、会話も味わい深く、テンポも絶妙。
忍者の話ではあるが、歴史ものというよりは粘っこい男と女の話。出てくる女子が軽薄すぎるきらいはあるが。
さらにはオチに天下の大泥棒の伝説を塗り込めるという荒技。
変態さんもいっぱい登場で大満足。
第42回直木賞受賞作品。
