筒井康隆10 | Review

Review

エンターテイメント評論(本、映像、音楽、お笑い…)



「噂の真相」の連載を毎月楽しみに読んでいた(立ち読み)ところある日突然「断筆宣言」されたのをリアルタイムで体験した。今となっては実際に断筆していたのは一定期間だったと納得できるが、当時(大学時代)は衝撃だった。59歳と作家としても脂の乗り切った時期であったし、いい感じで作品も発表していた矢先(文章の一部が連載中の雑誌出版社の編集者向けの詫び文となっている)で今後どうしていくんだろう、と他人事ながら心配になった記憶がある。


もう一つの注目ポイントは文芸批評家への容赦ない反撃。「虚航船団の逆襲」でもやってはいるが、こちらはもっと下品で執拗。SNSなど存在しない時代ではあるがよくこれを公共の出版物でやるなというほどの悪口だった。ただ筒井のすごいのはこの悪行雑言が文学として成立しているところ。