マオリ族は1000年頃にニュージーランドに植民し、その後、一部がチャタム諸島に植民してモリオリ族となった。

寒冷な気候のチャタム諸島ではニュージーランドの農作物が育たなかったため、モリオリ族は狩猟採集民にならざるを得なかった。人口は減少し、武器を持たず互いに友好的に暮らす非好戦的な民族になった。

温暖な気候のニュージーランドでは農業が行われたので、マオリ族は農耕民になった。人口は増大し、社会的分業が行われ、政治機構は複雑化し、好戦的な民族になった。

結果、1835年、マオリ族はモリオリ族を暴力的に支配することになった。

ポリネシアの島々の気候、地質、海洋資源、面積、地形、隔絶度は島ごとに異なり、それゆえ島ごとの人口規模、人口密度が異なる。人口規模、人口密度が多様であるがゆえに、ニュージーランドとチャタム諸島に限らず、ポリネシアの島々では生活形態、経済、社会構成、政治形態が多岐にわたっているのだ。

このようなポリネシアに見られる多様性は、世界の他の地域で見られる多様性と本質的に同じである。つまり、人間社会は環境によって多様化していくのである。