昨日 届いた研究会からの本
月末の仕事を終わって 帰宅したのが 22時過ぎだったから
どうしようかと 迷ったけれど
やっぱり 読みたくなって ちょっとだけ 読むことに。
目次と 最初のコーナー
いつも 楽しみにしている 著名人の語る中也との関わり
このコーナーだけ 急ぎ足で読んでみた。
今回は 髙樹のぶ子氏の語る この詩
ご自身の年輪に喩えた展開がなされていて
とても 深く 考えたコーナー。
30歳の若さで夭折した 詩人 中也が
後半の人生を生きることはなかったけど
第Ⅱ章では
生きえなかった人生の後半を
普遍性ある 表現で 詩を表現したことは とても感慨深く
もし、本当に
平均寿命近くまで人生を 全うしたとしたら・・・
などど 子どものような
天使のような言の葉をつづる 中也を思う秋の夜。
『 生ひ立ちの歌 』
Ⅰ
幼年時
私の上に降る雪は
真綿(まわた)のやうでありました
少年時
私の上に降る雪は
霙(みぞれ)のやうでありました
十七―十九
私の上に降る雪は
霰(あられ)のやうに散りました
二十―二十二
私の上に降る雪は
雹(ひよう)であるかと思はれた
二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました
二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました……
Ⅱ
私の上に降る雪は
花びらのやうに降つてきます
薪(たきぎ)の燃える音もして
凍るみ空の黝(くろ)む頃
私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました
私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のやうでありました
私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生したいと祈りました
私の上に降る雪は
いと貞潔でありました
*黝む 「黝」は青みがかった黒色のこと。「くろ」は推定ルビ。
*なよびかに 柔らかに。穏やかに。
(角川文庫クラシックス 佐々木幹郎編「中原中也詩集『山羊の歌』より)
