昨日の夕刊より
~上村松園~ 花がたみ
この日本画についてのコラム
“行き着いた乱心は 無表情を生む。”
能の面にヒントを得た 松園が
何度も何度も 下絵を繰り返し
打ち捨てられた扇の角度は 最後に この位置に落ち着いた。
松柏美術館の下絵の特別展では
膨大な数の下絵を 観て 驚いた。
筆で何度も書かれた線を消すために
和紙を重ね貼りし
また 描いては 貼る。
完成度に 満足のいくまで
繰り返される 下絵の枚数。
気の遠くなるような 数の下絵が
最後の完成された 1枚につながる。
時間と手間 試行錯誤の繰り返し
そんなことを思う 大好きな日本画家と美術館
この作品以降、謡曲をテーマとした作品が増えて行く。
~花筐(はながたみ) あらすじ~
春の越前(福井県)味真野。
男大迹皇子からの使者が到着します。
武烈天皇の後を継ぐべく都へ向かった皇子は
故郷・味真野に
最愛の女性 照日ノ前(てるひのまえ)を残したまま。
使者は照日ノ前に
男大迹皇子からの手紙と愛用の花筐(花籠)を渡します。
その手紙に涙した照日ノ前は花籠を抱いて
一人寂しく郷里へと帰ってゆきます。
時は、秋。
大和(奈良県)では継体天皇(かつての男大迹皇子)が
玉穂の地に新たに都を造営中。
そして臣下を引き連れ紅葉狩へ向かいます。
一方、照日ノ前は男大迹皇子を思うあまり
越前から侍女を連れて都へ向かいます。
ときには南下する雁を頼りに、琵琶湖を越え、
大和に至った照日ノ前たちは、継体天皇の行列に鉢合わせます。
行列先をけがす 狂女と見なされ
天皇の臣下によって侍女の持つ
大切な花籠を 打ち落とされた照日ノ前は
「そなたこそ物狂いよ」と、さらに 昂ぶります。
すると天皇の近くで舞うよう仰せが下り
漢の武帝の后・李夫人の曲舞を
自らの思いを込めて舞います。
そしてその花籠を見せるよう命じた天皇は
ようやくそれが正に照日ノ前に与えた花籠だと気付き
元の様に側近く置こうと誓い
照日ノ前たちを伴い 一行は都へ帰って行くのでした。
* 現在の<形見>の語源とも言われている。
