登場人物
店主: 陶次朗/出身地(東京)/年齢(62才)/履歴(30年間美術鑑定を営む)

《お客様プロフィール》
お客様:小林 康平/性別男性/独身/25才/千葉県出身/会社員/(備前焼収集家)
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【小林 さん】こんにちは。
【店主】いらっしゃいませ。
【小林さん】拝見させて下さい。
【店主】どうぞ、ごゆっくりご覧下さい。
【小林さん】窯変物を探しに来たんですが?
【店主】ぐい呑ですか?
【小林さん】え~。
ぐい呑は、高価に作品は高いですが、比較的お手頃ですから
【店主】確かにそうですね。
窯変も良いですが胡麻も色々な
黄胡麻・かせ胡麻・微塵胡麻・流れ胡麻が合って面白いですよ。
●黄胡麻/備前灰釉薬で代表てきなもの。
松割り木の灰が器に付着し高温1200度で溶解したもの。
●かせ胡麻/成温度が低い場所で出来る胡麻、備前の方言でかせている(触感がガサガサしている)からきた呼び名でしばしば緑がかった色になる。
焼色の違いにより「メロン膚」「えのき膚」と呼ばれる物もある。
●微塵胡麻/あたかも、微塵粉を撒いたかの様な小さな粒状の胡麻で耐火度のやや高い土に、松灰が薄くかかった時に出来やすい。
●流れ胡麻/焼成温度が高い場所(火前)で出来る胡麻で、厚く降りかかった松灰が玉だれ状になって流れているものを言います。
他にも糸胡麻・黄胡麻・黒胡麻など。
【小林さん】本当に胡麻と言えども多くあるんですね。
【店主】皆さんは、インパクトのある窯変をこのみますが
備前の作家さんによって異なりますが窯変より胡麻作品の方が高く販売している作家さんもいますよ。
【小林さん】それならコレクションとしてこの作品とこの作品二点いただきます。
【店主】ありがとうございます。
次回またお越しをお待ち致しております。


(登場人物・ストーリーは、ノンフィクションで描いております。)



気まぐれ開店、陶次堂

登場人物
店主: 陶次朗/出身地(東京)/年齢(62才)/履歴(30年間美術鑑定を営む)

《お客様プロフィール》
お客様:石川 将彦/性別男性/既婚/52才/福島県出身(現在東京・飲食店経営/(お店で使用する器を集めている)
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【石川 さん】こんにちは。
【店主】いらっしゃい。
【石川さん】拝見させて下さい。
【店主】どうぞ色々手とって見て下さいね。
【石川さん】備前焼の鉢、皿等を求めにきたんですが
何か、おすすめする様な作品がありますか?
【店主】そうですね。
一般に備前焼の皿・鉢等と言っても色々な焼と景色がありますから
失礼です、ご自宅で使われるのですか?
【石川さん】飲食店を営んでおりましてお店で使おうかと思っております。
【店主】そうですか
料理を引き立たせるのであれば緋襷などいかがですか?

●(緋襷)とは直接炎があたらない部分で、ワラのアルカリ分と、
素地の鉄分が反応してできた緋色のたすき模様。
窯詰めの際に、作品同士の溶着を防ぐ為に、
ワラをはさむ事によって得られる。

【店主】緋襷と言っても色々な緋襷がありますが
線の緋襷・面の緋襷、登窯での緋襷、穴窯での緋襷
土と窯によっても色合いがちがいます
また匣の穴に(さや)よっても違います。

●(匣saya)とは窯道具のひとつで
灰があまり掛からないように
する時に匣の中に入れて焼きます。

【石川さん】では、どのような緋襷が良いのですか?
料理を引き立たせるなら面の緋襷などいかがですか
【店主】お寿司屋さんで、桶の底が赤いのは何故だとおもいますか
また、お膳が何故赤い塗りなのか。
寿司のシャリとネタ(マグロは、別として)また、器が白いものがあるからです。
【石川さん】言われてみればそうですね。
【店主】備前以外にも何処の焼物も見所は、が備前の緋襷は、一番面白いですね。
私も、ずいぶん緋襷作品を所蔵していますが、やはり緋襷は良いですね。
チョトお高いですが、この線の緋襷40cm大皿などいかがですか?
【石川さん】この皿ですね。
【店主】飾り皿としても重厚感があり使われても料理が引き立つと思いますよ。
【石川さん】では、いただきます。
【店主】ありがとうございます。
重たいですのでお届け致します。
時間がある時にでもお客さんとしてお邪魔いたしますので、お買上げされたお皿で盛り付けて下さい。
【石川さん】ハイ、わかりました。

(登場人物・ストーリーは、ノンフィクションで描いております。)



気まぐれ開店、陶次堂

気まぐれ開店、陶次堂

気まぐれ開店、陶次堂

気まぐれ開店、陶次堂



気まぐれ開店、陶次堂

登場人物
店主: 陶次朗/出身地(東京)/年齢(62才)/履歴(30年間美術鑑定を営む)

《お客様プロフィール》
お客様:酒井絵美/性別女性/既婚/31才/東京都出身(現在東京・ファッション業界勤務/(料理を趣味としている)
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【酒井さん】今日は。
【店主】いらっしゃいませ。
【酒井さん】拝見させて下さい。
【店主】どうぞ手に取って見て下さい。
【酒井さん】色々な器があるんですね。
【店主】ハイ!焼物屋ですから。
色々取り揃えてありますよ。
【酒井さん】以前、開店の際に来店された佐藤さんの知合いなんです
料理を趣味としていて今回、作る盛付の皿を探していてと話したら
陶次堂にとても良いものがあるから一度行ってみたらと声をかけられまして。
【店主】そうなんですか。
どんな皿、鉢がよろしいですか
【酒井さん】家には、織部・志野・他、ギャラリー、デパートなどで買った器があって
今回、備前の器に盛ってみようかなと?
【店主】そうですか
でわ、こんな器は、いかがですか?
作家は、備前長船の松原晋司さんの器で
あまり造型に拘らずシンプルな使う器を造りますよ。
作家さんの作品の良いところは、仕上げの上手さと盛付を考え造っています。
昔の作家さんは、シンプルで料理を引き立たせる器を造っていましたからね
ご存じの魯山人先生も器は料理の着物だと言って自ら料理を盛り付ける皿、鉢など焼いていましから。
【酒井さん】そうですね。
確かに魯山人先生作品も料理の器が多いですね。
【店主】1点は、四方鉢で深みがありますから和食なら汁を入れても大丈夫で
フレンチ、イタリアン、中華など多様に使われますよ。
もう1点は擂鉢で、季節がらお素麺など良いですね
牡丹餅がとても奇麗に映えますよ。
【酒井さん】この二点の作品をいただいていきます。
【店主】ありがとうございます
盛付され写真などお取り頂きましたら是非とも見せて下さい。
ありがとうございました。
佐藤さんにも宜しくお伝え下さい。


(登場人物・ストーリーは、ノンフィクションで描いておりまが備前の作家、松原晋司は、ご本人の氏名を使わせて頂きました。)



気まぐれ開店、陶次堂


気まぐれ開店、陶次堂



登場人物
店主: 陶次朗/出身地(東京)/年齢(62才)/履歴(30年間美術鑑定を営む)

《お客様プロフィール》
お客様:鈴木公一/独身/27才/岡山県出身(現在東京・某電気会社勤務/焼物コレクター歴(2年、主に物故作家物収集)

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【鈴木さん】今日は。
【店主】いらっしゃいませ。
【鈴木さん】チョトみさせて下さい。
【店主】どうぞ手に取って見て下さい。
【店主】何方からお聞きになってお越しいただいたのですか?
【鈴木さん】ハイ!焼物の事を良く知っているとの事で友達から聞いてきました。
【店主】どちらからお越しですか?
【鈴木さん】ハイ!東京の杉並からきました。
【店主】わざわざ遠い所から来られてありがとうございます。
もともとは、岡山出身なんですけども岡山の友達に作品情報を聞くと中々良い作品が無く
こうして骨董店、ギャラリー、オークションの落札などしています。
【店主】地元岡山なら、まだまだ良い物があるのではないですか?
【鈴木さん】それが、求めている作品が高く中々買えないんです。
【店主】何方の作品ですか?
【鈴木さん】何方と言うより物故作家物なんですが
骨董店、ギャラリーなどで価格を見るとやたら高く私の安月給では中々買えず
某オークションで落札などしています。
【店主】オークションで良い物を落札致しましたか?
【鈴木さん】中には、これと言う物も御座いますが偽物もずいぶん落札した事も御座います。
【店主】ま~。多く偽物も出を待っておりますからね。
作品と箱が違ったり、似せた作品を造り箱と落款を作り売ったりと今、始まった事ではないですが
安くて良い物は、たやすく出てきませんよ。
以前は、私もオークションで落札した事がございます。
その当時は、またまだ入札しても、こんなに高く落札さされず安い価格で
落札できましたから。
一つ言えば、オークションもファッション業界と同じく作者、作風の移り変わりが激しく
今、鈴木さんがお求めされている様な物故作家物はオークションでは高く骨董市とか骨董店、ギャラリーで買った物の方が焼けが良く
ご満足行くと思いますよ。
人間国宝の金重陶陽先生がこの様な言葉を残しております。
『良いものはたやすくできるわけではない。私にしてみれば、悪いものが売れるのが、不思議たと思っている』
出品者、落札者とも日本のオークションは、海外のオークションとはチョト近い価値観が違いますね。
【鈴木さん】そうですね。
【店主】情報までですが今、オークションで落札するなら○○窯・○○作家が良いと思いますよ。
土が良いですからね。
【鈴木さん】やはり土ですか。
今日、何も買わずにすみませんが、この次来店の際に良いものが会った時に買いますから
【店主】無理して買わなくても宜しいですよ
気にいった物が会った時に買えばよいですから
この作品は、以前オークションで落札した作品で、ひょとしたら豊蔵先生の作品かと思い
何とやはり荒川豊蔵の志野茶碗と判明しました。
【鈴木さん】ヤ~すごいです
目利きがすごい店主さんですね。
【店主】やはり、常に良い作品を見るべきかと思いますね。
【鈴木さん】また、きますから宜しくお願い致します。
【店主】ありがとうございました。


気まぐれ開店、陶次堂


気まぐれ開店、陶次堂


(登場人物・ストーリーは、ノンフィクションで描いております)


うつわや陶次

登場人物
店主: 陶次朗/出身地(東京)/年齢(62才)/履歴(30年間美術鑑定を営む)

《お客様プロフィール》
お客様:佐藤辰夫/妻、子供一人/35才/東京出身(某会社勤務営業/焼物コレクター歴(7年、主に酒器を集めている)

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【店主】陶次堂の店主の 陶次朗と言います
この度、私とご来店のお客様との会話を画像ともに描いて行く
気まぐれ陶次堂の一日です。
今日は、雲一つない晴天です

さ~開店々。

【佐藤さん】こんにちは、今日、開店とお聞きしてお寄り致しました。
私、焼物が大好きで作家さんの個展、骨董店、各地の窯元や陶芸作家さんの所に出かけてはお気に入りの作品を見つけてくるのが
楽しみなんです。
【店主】そうですか?今日、どの様な作品が欲しくてご来店なされましたか?
【佐藤さん】ぐい呑を集めていまして、ひょとしたら求めているぐい呑があるかと思い
寄らせて頂きました。
【店主】何方の作品ですか?
【佐藤さん】物故作家の作品で正宗 悟先生の作品なんですよ。
【店主】そうですか一点だげございます。
今ここにある正宗先生作品ですが見た目は、へいぼんな作品ですが実は、この作品、ここにもある、あそこもある作品とはチョトちがうんですよ。
【佐藤さん】え~。何処がどう違うんですか?
【店主】はっきり言って土味なんです。
作家の先生は、良い土を求め自分から堀に行ったり買ったりしています
正宗先生の窯場は、下り松にあり備前でも良い土が採集される所でもあるんです
正宗先生は、幾つか名前を変えており、この作品は、悟の前に憲悟と言う名で作陶していた頃の作品で
造形的に変哲も無い作品ですが見込みを見て下さい艶やかな赤で窯詰めの際に、この様な色を出したく
詰めたのかもしれませんね。
作家さんは、窯を焚くより窯詰めに神経を使い詰めますから
その窯詰めに寄って生まれ出てきた作品の良し悪しが決まりますから。
【佐藤さん】ん・・・。確かに言われれば造形も土も全く今とは違いますね
いわば、先生が有名作家になった原点とも言われる作品の一つかも知れないんですね。
【店主】よく言われる事ですが一土・二焼き・三造形と言われます。
やはり土が一番ですよ。
お酒を入れて見ると、また一段と艶やかさがましまよ。
【佐藤さん】買って使ってみます。
【店主】ありがとうございます。
【佐藤さん】また遊びにきますね。
【店主】お気をつけてお帰り下さい
ご感想を次回ご来店の際に聞かせて下さい。



ジャパネスク

ジャパネスク

ジャパネスク


(登場人物・ストーリーは、ノンフィクションで描いております)

うつわや陶次