私は化学会社に勤めているのでポジショントークと
思われてもしかたがないのですが、
最近なにかと環境問題で話題のPFASこと
正式名「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物」
が水道から検出されたと問題視されていますが、
これをもってPFAS全面禁止となると多くの製品に支障が
出ます。
石綿禁止後、化学プラントのパッキンやガスケットはフッ素樹脂使用が増えていますが、
それが禁止となると、代替材料では耐薬品性や耐熱性が不足して漏洩・火災に
つながる恐れがあります。
アウトドア派ご用達の某撥水素材のアウターや靴は着用出来なくなりますし、
非フッ素樹脂加工のフライパンでおこげの増えた卵焼きやチャーハンとかで
発がん性物質をより多く取り込む可能性もあります。
エアコン、リチウムイオン電池など身近なものにも使われており、
これらを代替するとなると火災や他の毒性の危険が増すものが多く、
非常に悩ましいところ。
(例えば、冷媒をフロンからアンモニアに戻すところもあるけど、
アンモニアは燃えるし、毒性強くてビル内に漏れたら中毒者続出です)
水俣病やカネミ油症事件のように特異的な症状が現れるなら因果関係も
わかるのですが、PFASは総論では健康に影響がありそうとわかっても、
特異な症状がないため個別案件では因果関係がはっきりしないし、米3Mの裁判も
飲料水へのPFAS汚染について和解金を出しても、個人の健康被害について
和解金は出していない状況のようですし。
結局、EUや米国で規制が決まれば従うほかないので、
全力で代替材料へ安全に切り替えるよう頑張りますわ。
ではまた。