去年の春に引っ越して、仕事を変えた。
仕事は、今度こそ好きなものにしたいと思った。
これまで、何年もコールセンターで働いてきた。
エンドユーザー対応のものを少し経験して、その後はずっと社内ヘルプデスク。
仕事自体は、別に嫌いな訳ではなかった。
パソコンにずっと向かっていることも、電話を受けることも、言葉で説明をするのも、嫌いではなかった。
ただ、身体がその仕事を拒否しているというのは強く感じた。
眼精疲労と肩こりによる頭痛と吐き気。
顔や足のむくみ、腰痛。
でも、なんだかんだでずるずると、その仕事も3年続いた。
引っ越しを機に辞めて、新しい仕事を探す時。
今度こそ、好きなことをしたかった。
大した趣味もなく、夢もない私だから。
せめて仕事くらいは、せめて嫌いではないものにしたいと。
でも、それは叶わなかった。
例えばまた接客や販売に戻ったとして、時給はこれまでと比べると500円は下がる。
生活が出来ない程ではないにしても、貯金は大して出来ない。
同棲を始めた恋人と生活リズムを合わせると土日休みにしなければいけない為、選べる仕事も限られた。
結局、たまたま募集が出ていた隣駅の仕事に決まった。
また、社内ヘルプデスクだった。
業務内容は以前よりも少し専門的な対応が多くなったものの、何とかなった。
ただ、半年程働いた時点で、身体が遂に音を上げた。
肩におかしなしこりが出来、腕は痺れた。
首が異常に硬くて痛くて、背中全体が痛くなって、座っていられなかった。
頚椎ヘルニアである事と、元々の柔軟性のなさと筋肉のなさで、身体を上手く支えられていない、との診断だった。
療養の為という事で、退職した。
この頃には恋人と入籍していたけれど、そのまま専業主婦に~とか、母親に~なんていう訳には行かなかった。
今年で29歳になる。
そろそろ子供も欲しいと考えているけれど、出産の前後で私の収入がなくなる事や、もしもの事を考えれば、もう少し貯えが欲しかった。
子供の預け先を確保出来なければ、すぐに働きに出る事も出来ないのだから。
そうして私は、また好きでも何でもない、しかし嫌いでもない事務職に就くことになった。
電話をしていると無意識に首や肩に力が入る癖がある為、電話応対のない仕事にした。
仕事があるだけ有難く、衣食住にも困っていない。
頼もしい、優しい伴侶もいる。
だのに、私には常に虚しさが漂っていて、満たされないという感覚がなくならない。
これはもう何年も前からずっと。
私には何もない。
趣味も、夢も、夢とは言わずとも目標も、やり甲斐も、何もない。
何かをやり遂げたり、趣味を持っていたり、夢や目標に向かって努力していたり、幸せな家庭を築いている人を見て、ただひたすらに虚しくなる。
私の人生って何なんだろう。
なんで私にはこんなにも何もないんだろう。
私を選んでくれた旦那には感謝しているし、尽くすつもりでいるけど、その旦那に対してすら引け目を感じる。
何か、やりたい事ってあったんだろうか。
何となく、少しだけ、ちょっと興味を持ったり、憧れ程度のものはあったと思う。
でも、何も努力はしなかった。
動く以前に諦めて、それについて考える事すらしなかった。
若い内からずーっと、あれもこれも、全部諦めて生きてきた。
損得ばかり考えて、何にも努力なんかしなかった。
気付いたら、三十路も目前。
そんな生き方をしてきたんだから、こうなったんだけど。
最近ずーっとこんな事ばかり考えていて。
やっぱり仕事だけでももう少し自分の希望に寄せても良いんじゃないか、せめてストレスなく働けるものにした方が良いんじゃないかって考えているうちに採用されてしまい、仕事は決まってた。
うじうじとするだけで、また何もしなかった。
こんな事はこれで何度目かわからない。
この先もこんな感じで人生続いていくのかなぁ。
だからと言って、どうすれば良いかもわからないし。
無い物ねだり。隣の芝生は青いもの。
そんな事を考えながら、日々過ごしているよ。