上映作品解説② 11/14(火)〜19(日)アリスセイラー出演友松直之監督作品大特集
〒166-0002
東京都杉並区高円寺北2-21-6 レインボービル3F
JR高円寺駅徒歩6分 純情商店街 磯丸水産前
11月14日(火)〜11月19日(日)
平日 START/17時〜22時半
土日 START/14時〜22時半
14日〜17日¥2,300/1ドリンク付き 18日、19日¥2,800/1ドリンク付き
●「レイプゾンビ LUST OF THE DEAD」70分(2012年)アルバトロス
出演/小沢アリス あいかわ優衣 亜紗美 小林さや 中沢健 内田春菊 若林美保 里見瑤子 倖田李梨 貴山侑哉
そんなわけで失恋したのである。誰だ誰だまたかなどと言うやつは。いや実に「また」ですが。某女優との恋愛をこじらせて、もう何の気力もなく幻想配給社も休眠させ廃業宣言までしたのだから笑える。馬鹿か。折りよく「ミナミの帝王」シリーズも終了し、ツタヤはじめレンタル業界も翳りを見せはじめ、Vシネマはもう終わりと言われ、OP映画を干され、離婚以来父子家庭で育てた長男の高校卒業も間近となって、仕事を続ける意義も意味も見失っていたのかもしれない。「男四十にして惑わずレイプ。不惑と書いてFUCK」は、OP映画「囚われの淫獣」で書いた台詞だが。そんな折りに、3・11東日本大震災が起こり、オウムサリン事件や阪神大震災やノストラダムスの大予言以来の終末感にわくわくして廃業宣言を撤回、改めて創作をはじめようと思い立った、などと書くと不謹慎なので控える。もう書いたが。原点回帰というわけでもないが、「食欲ではなく二大欲求のもう一方である性欲だけが残ったゾンビ」というのは高校部活映画時代に発想したネタである。各メーカーに企画を持ち込み全部断られていたが、アルバトロスに拾っていただけることになったのだ。廃業などしている場合ではなかろうと言うものだ。制作は石川二郎の制作会社アウトサイドにお願いした。かつて監督デビューさせたことを恩に着せて無理難題を押し付ける関係はこのときからはじまり今に続く。シナリオも石川と共筆した。レイプするゾンビは男性ホルモン・テストステロンの爆発的分泌で発症し、心臓を撃ち抜かれても首を切り落とされても死なない。レイプされた女は中出しの毒で即死。撃退するにはチンポを切り落とすかキンタマを撃ち抜くしかない。レイプゾンビ化は感染ではなく、ある日突然、世界中の男たちが一斉発症する。ただ、童貞オタクだけは発症しない。しかしその童貞オタクも脱オタしてセックスしようとするとたちまちレイプゾンビ化するのだ。惹句は「殺るか犯られるか」。おお、この身も蓋もない馬鹿馬鹿しさこそ俺創作じゃないか。女を瞬殺する毒精液だが、先っちょだけの先漏れだと、異形の進化人類の種になる。ラストは産まれたばかりの進化人類を抱いて歩き出すヒロインの後ろ姿だ。素晴らしい(自画自賛)。製作費は二百五十万円。ピンク映画は今も昔も三百万円前後だが、「疑惑の診察室」五百万円、「レイプハンター」八百万円の時代から考えると安くなったものだ。もちろんベーカムカメラも必要なく民生機でプロ並みの画像が得られて機材費も安くなり、編集も専門スタジオではなく自宅のパソコンでできる時代であり、安く作れるようにはなっているのだが。監督料0円の仕事抜きで挑んだ本作は、どうせ原点回帰ならとばかりに、十年ぶりにアリスセイラーに連絡を取り、主題歌「愛は血と内臓の果てに」を作ってもらい、射撃訓練を指導する女性自衛官役で出演もしてもらった。
●「君はゾンビに恋してる」70分(2011年)クロックワークス
出演/羽田あい 小林優斗 福天
リリースはこちらが先だが、製作は「レイプゾンビ」とほぼ並行して行われた。こちらは制作会社レオーネを通しての受注企画。挿入歌にアリスセイラーの「愛は血と内臓の果てに」を使っているが、これは最初から両作品に使い回すつもりで、1コーラスめは胸キュン恋愛、2コーラスめはレイプ推奨ソング、と歌詞が各作品用になっている。だからフルコーラスで歌うと何だかちぐはぐなのだが、まあ、結論はともに、愛は血と内臓の果てに、ということでオッケーだろう。アリスセイラーへのギャラを本作の製作費から支払い、より低予算の「レイプゾンビ」をちょっとでも節約しようという魂胆であった。物語は、「彼氏を作るならゾンビ」というくらいにゾンビ好きな女子高生がクラスのイジメられっ子を屋上から突き落とし、ゾンビパウダーでゾンビ化して彼氏にする、というトンデモ・ラブコメ。実は当初はもうちょっと悲恋ふうの別シナリオを提出していたのだが、もっとコメディをという注文で、そちらをボツにして新たに書き直した。ボツになったシナリオはのちに「恋愛死体 ROMANCE OF THE DEAD」として自主制作し、アルバトロスからDVDリリースした。本作「君はゾンビに恋してる」では、アリスセイラーに本人役で登場してもらい、街角でいきなり歌いだしてミュージカル場面が展開するという、コメディの王道? に挑戦している。クラスのイジメっ子役で長男が出演しているが、高校生になる頃から俺作品への出演をしぶり、作品を観ることさえ拒否するようになっていた彼(そのくせ園子温をレンタルして観たりして)が、本作にはノリノリで協力し、クラスメイトのエキストラ集めまで手伝ってくれた。なぜかというと、そのエキストラで連れて来た女子高生のひとりに片思いしていて、その子がスプラッター映画好きだったかららしい。どこまでも思春期で結構なこっちゃ。結局フラれたようだが。片思いもいいがヤラずに後悔するならヤッて後悔しろ。つまりレイプして刑務所で回想オナニーするのが正しい恋愛だと父親らしくアドバイスしたが一蹴された。
●「本当はエロいグリム童話 レッド・スゥオード」70分(2012年)クロックワークス
出演/亜紗美 仁科百華 森羅万象 山段智明
シナリオ仮タイトルは「赤頭巾VS狼男軍団」。こちらも制作会社レオーネからの受注企画だが、おそらくクロックワークスの某女性社員プロデューサーが、日活の「すしタイフーン」の向こうを張って(ただし予算は五分の一で)スプラッターコメディ(+エロ)シリーズをやりたがったのではないかと推察するが詳細は知らない。そのプロデューサー女史もすでに寿退社して今は海外で活躍中らしいが。この時期に連続して、「華麗なるエロ神家の一族〜深窓令嬢は電気執事の夢を見るか」「禁じられた旋律〜処女にナニが起こったか」(シナリオ仮タイトル「ヴァンパイアピアノレッスン」)「本当はエロい日本の裏伝奇〜泡姫陰陽師」を連作させていただいたものだ。ありがたやありがたや。それ用に書き散らかしたプロットでボツになった「本当はエロいアンデルセン童話」は、のちにオンリーハーツに拾ってもらい「マッチ売りの殺人少女」として製作・リリースし、同じくボツになった「本当はエロいイソップ寓話 バニーガールVS出刃亀男」は「シザーチンP」として現在鋭意自主制作中だ。他にも「人喰い人魚姫」「死んデレらと死霊の盆踊り」などまだまだいくらでもネタはあるぞ。おお、これぞ我が創作。興味のある映画会社、Vシネマメーカー、業界関係者はご一報を。お安く作りまっせ。あるいはそのうちまた自主制作するか。さておき本作「レッド・スゥオード」は、「レイプゾンビ」におけるアクション女優・亜紗美と早瀬アクション指導のコンビネーションにいたく感動したので、それメインで一本撮ろう、という発想であった。延々チャンバラやらせたら面白かろう、ということですな。アリスセイラーには、主題歌「赤頭巾ちゃんSOS」を作ってもらい、エンディングでキャスト全員参加による大ダンス場面を展開した。学園コメディのエンディングは踊るものと相場が決まっておる。かどうかは知らないが。作詞は俺だ。この楽曲は各方面に評判がよく、城定秀夫監督がアイドル映画に使い回したり、インディーズバンドや地下アイドルがカバーしたり、今でも人知れず歌われているらしい。
●「ぴいち姫の桃太郎」10分(2013年)自主
そんなわけで十年ぶりに付き合いの復活したアリスセイラーであったが、彼女の別名(別人しかもアンドロイドという設定らしいが)である「ぴいち姫」を主演にして短編映画を作ってくれ、とアリスさん本人から頼まれたのであった。もちろん無理難題は相互関係であるべきであり、否はなかった。
●「レイプゾンビ2&3 アキバ帝国の逆襲」95分(2013年)アルバトロス
出演/宮村恋 小沢アリス あいかわ優衣 亜紗美 小林さや 中沢健 貴山侑哉 若林美保 青山真希 冨田じゅん 倖田李梨 吉瀬リナ 佐倉萌 里見瑤子 文月 鬼塚あみ
と思いきや前作「レイプゾンビ LUST OF THE DEAD」がまさかのヒットを成し遂げたのだ。もちろんヒットと言っても所詮この手のエログロVシネであるからタカが知れているのだが、それでも作りたいものをやりたい放題好き勝手に作ってちゃんと利益が出た、というのはとりもなおさず快挙であろう。片思いの末にレイプしたら結婚してくれた、くらいにはイイ話だ。そこで続編受注。2の惹句は「絶つか勃たせるか」、3は「刺すか挿されるか」。しかし困った。実は続きなんか全然考えていなかったのだ。そんな折り、「レイプゾンビ」公開宣伝のためにライター菊池美佳子女史に取材していただき、「倦怠期カップルのセックスレス打開策」という記事のために質問回答原稿を書いた。菊池女史はセックスレス打開にカップルで軽いレイプごっこをしてみましょう的な記事を作るつもりだったようなのだが、その意図をあえて汲まず、プレイではなくガチのレイプを推奨する原稿を書いて菊池さんを困らせたものだが、その原稿での考察がそのまま本作のプロットとなった。世界レイプゾンビ化現象と北朝鮮からの核ミサイル攻撃で廃墟と化した東京に、逃げ隠れる夫婦がいるのだが、この夫くんは童貞オタクでもないのにレイプゾンビ化しないのだ。まあネタをバラせば、夫は妻相手に絶対欲情なんかしないから、というオチなわけだが。東京では、レイプゾンビ化しなかった童貞オタクたちが興したアキバ帝国と、豊島区の女ばかりの女村避難所がにらみ合い、男女最終決戦がはじまろうとしている。前作ラストで新人類を産んだヒロインはアキバ帝国の現人女神(=アイドル)として祀り上げられており、彼女が帝国民集会で歌う「妄想LOVEで抱きしめて」をアリスセイラーに作ってもらった。これも俺が作詞。ちなみに本作は2013年に開催されたゾンビ・オリンピックの日本代表として劇場公開され、なぜこんなものが日本代表なのだと嘆くゾンビ映画ファンの声が聞かれたものだが、いやいや、そもそもゾンビ・オリンピック自体が、海外ゾンビものばかりを同時期に輸入してしまったアルバトロスが、食い合いを避けるためにカブリを逆手にとって、各国競演! 的な宣伝目的の上映イベントとして企画したものだったのだから、そこに自社製作作品を混ぜないわけにもいかなかった事情もあろう。シナリオは「赤頭巾ちゃんSOS」に続いて本作でもアイドルステージのダンス振り付けを担当した百地優子との共筆。製作費は第一作より五十万円アップして三百万円となったが、2と3の二本撮りだから実質的には一本百五十万円にダウンしたとも言える。本作も俺は監督料0円で、それどころか、同時期に受注した真面目系映画「飛べ! ダコタ」のシナリオ料に二百万円ももらったので、それを注ぎ込んで持ち出しで作っている。
●「マッチ売りの殺人少女」70分(2014年)オンリーハーツ
出演/緒川凛 ももは 藤田浩 ホリケン。 津田淳 黒木歩
ノーギャラ(しかも持ち出し)の「レイプゾンビ」だったが、そのヒットは業界内で通りがよく、しばらくは挨拶代わりに「レイプゾンビ頑張ってるね」とあちこちで言われたものだが、オンリーハーツ社長などはわざわざ電話をくれて、久しぶりにうちでも何か作れとの声掛かりで本作を製作することになった。何でもやっとくもんだな。物語は、山間の過疎地のケーブルテレビ局でご当地怪談番組を作ることになり、心霊スポットの廃トンネルに現れる「マッチ売りの少女」を目撃した者は一週間以内に焼け死ぬという、嘘っぽくも禍々しい噂を検証するうちに、はからずも過去の村ぐるみの犯罪を暴いてしまう。オカルトや都市伝説を俺なりに解釈した幽霊もので、タイトルに反して中身はいたって真面目なガチ・ホラーを目指した。そんなところがレオーネ&クロックワークスのスプラッターコメディシリーズからボツにされた理由でしょうな。受け継がれる呪いとともに、生命賛歌を意図した本作だが、登場する赤ん坊は全て俺の子。ヒロインと不倫中のプロデューサーがデスクに飾る母子写真は、離婚した妻が次男を抱っこする写真。ヒロインが取材する自宅出産のドキュメント番組の赤ん坊は、「STACY」の上映映画館でナンパし、その後付き合いの続いたオーケンファンが産んだ三男。クライマックスでヒロインが幻視する自身の誕生場面は、「レイプゾンビ」の編集を担当した女性スタッフに産ませた長女である。俺の子は男ばかりと思っていたが、このタイミングで初の女児誕生とは実に素晴らしい。立ち合い出産で撮った映像もあったのだが、ヘソを切った傷が治り絆創膏がはずれるのを待って、生後二週間の長女を血のりまみれにして撮影した。この長女はこの後も「レイプゾンビ5」や「レイプゾンビ外伝」、「恋愛死体」の回想場面にも連続出演している孝行娘。母親別で四人作った俺の子たちも出揃ったわけだが、三歳になった娘と小学校二年生になった三男も本作は大好きで繰り返し観ている。三男の将来の夢はスプラッター映画監督になって「吸血少女対少女フランケン」の続編を撮ることだそうだが、彼のスケッチブックには様々な血みどろ絵が鉛筆と赤ペンで真っ黒&真っ赤に描き殴られ、スクールカウンセラーも腰を抜かす。俺も中野区の虐待相談窓口から呼び出されたりしているわけだが、わくわくで出掛けて俺映画の宣伝をしたりトンデモ理論をまくし立てたり、ああ、人生は楽しいなあ。大人ってこんなに駄目でいいんだなあ。アリスセイラーには、劇中挿入歌、廃トンネルのマッチ売りの少女が口ずさむ三十年前のヒット曲という設定の「マッチ売りの少女」を作ってもらった。作詞はアリスさんと俺の共筆。
●「レイプゾンビ4&5(完結篇)新たなる絶望」120分(2014年)アルバトロス
出演/めぐり あん 希咲あや ももは あいかわ優衣 亜紗美 若林美保 吉瀬リナ 文月 中沢健 貴山侑哉
そのようにしてトゥービーコンテニューで終わった前作2&3のきっちり同場面の続きで幕を開ける本作は、いよいよシリーズ完結のための物語。つまりは廃業宣言を経てそれでも撮ろうと思った俺創作の総決算でなくてはならなかった。ヒロインが世界レイプゾンビ化現象の根本解決としてタイムリープを繰り返し、高校時代に還るのも必然の展開であったろう。全ての男女問題の根源は思春期にあるのだ。もちろんアイラブ自分の俺であるから俺の興味は常に俺自身に向けられており、俺創作は常に俺の話なのだが、俺創るゆえに俺あり、俺俺俺と俺一辺倒であってもそこはそれ基本的にはみんな似たような青春時代なわけだから、俺に感情移入して勝手に感動したり怒ったり泣いたりすればよかろう。ちょうど世間では「霧島、部活やめるってよ」がクリーンヒットを飛ばしていたが、その文脈で自分の青春時代を振り返り、シリーズ通して出演してくれた作家・中沢健の著作にしてNHK‐BSでドラマ化もされた「初恋芸人」の場面を取り込むことも必然だった。シリーズ参加俳優女優全員に声を掛けて年齢を問わず制服高校生を演じさせたのも、自分のトラウマ場面を大人になってから演じることで克服しようとするサイコドラマ療法をイメージしている(何を勘違いしたかアリスセイラーは涼宮ハルヒのコスプレでこの場面に参加しているが、それもアリか)。高校時代の俺は何を思って創作をはじめたのであったか。当時女子高生(俺よりは一足先に卒業していたはずだが)のアリスセイラーは京都で何を歌っていたのか。なぜ女どもはヤラせないのか。チンポが勃つのは罪なのか。男女の断絶は生物学的必然なのか。みんな高校時代に還ってもう一度考え直してみようじゃないか、というわけだ。馬鹿馬鹿しくも素敵に暴力的な流行りのフェミ系理論はきれいにミゾジニーと対を成す。どっちもどっちというか、似たようなことをお互いに言い合っていて笑える。どちらかに正義があるとはとてもじゃないが思えない。というかギャグにしか聞こえない。男女泥仕合の果てに少子化でヒトが絶滅するならば、とっとと両性具有で単為生殖可能な進化人類に世界を譲ればいいじゃないか。まあそういった決定的な断絶を描写して、それをシリーズの結論とした。2&3でシナリオを共筆した百地優子は書き上げたばかりの完結篇のシナリオを一読して「友松はこれを撮ったら死ぬんじゃないか」と感想を述べた。死なんけど。まあ、確かに総決算作品ではあり、今も「レイプゾンビ」は名実ともに俺友松の代表作ということになっている。実のところヒット作と言えるのは一作目だけで、2&3は平均点、4&5完結篇は売り上げ的に赤字だったらしいのだが。シリーズでならすととんとん、という実につまらない収支決算でシリーズは完結したわけだ。惹句は4が「イクか逝かせるか」、駄洒落が尽きた5では「ヤラせない女の罪は地球より重い」と本音を記した。現場的には、過去作の引用で予算削減を狙ったはずが、シリーズヒロインが引退してしまって代役キャスティングとなり、回想場面を全部撮り直さなくてはならなくなってちっとも削減できなかったが、ちょうどまた真面目系映画「ソ満国境十五歳の夏」のシナリオを書いて二百万円もらっていたので、それを注ぎ込んだ。劇中タイムリープ場面はまさに俺の高校時代に大ヒットして俺も魅了された大林宣彦監督の「時をかける少女」を著作権侵害レベルで再現しつつ、エンディングもまた同作へのオマージュでヒロインのカメラ目線による主題歌歌唱にはじまって、アリスセイラーの「妄想LOVEで抱きしめて」と「愛は血と内臓の果てに」をリミックスバージョンで出演者全員に合唱させた。
●「ハードコア・オブザ・デッド レイプゾンビ外伝」70分(2017年)アルバトロス
出演/黒木歩 深琴 若林美保 三代目葵マリー 名無しの千夜子 雨宮留奈 晴香いく KHO 松岡玲依 鳴瀬聖人 青山真希 瞹原ゆめ
完全に完結したはずのレイプゾンビ・シリーズなのに、わずか三年とは意外と早く復活したものだが。これは脚本家の尾内幸司氏が、シナリオとともに自己出資で製作費二百万円を持ち込んでくれたからであった。サラリーマンを続けながら作家を志す尾内氏は、著作を自費出版しようと思っていたのだが、それには二百万くらい必要で、同じ二百万円ならシナリオとともに俺に持ち込んで自作シナリオの映画化を、と考えてくださったようだ。その意気に応えて俺も完結の封印を解き、自主制作してアルバトロスからリリースしたわけだが、本作劇中で最初のレイプゾンビを演じた大阪芸大在学中の若手・鳴瀬聖人監督(大阪芸大で「レイプゾンビ」上映授業を実現させた行動派)は、完成品を観た感想として「この作品は作る意味があったんでしょうか?」と、大真面目に議論を吹っ掛けてきたが、無粋なことを言うんじゃないよ。まあ言いたいことはわからなくはない。完結したシリーズの蛇足でしかないとは言えるかもしれない。しかしながら、自分語りも創作だが、いつの間にか語り手がバトンタッチするのもアリじゃないか。物語が語られたがっているということもあろう。本作の一作目から現場にスタッフ参加し、完結篇では編集も担当し、近年は自主制作作品を連発する山口通平監督などは「シリーズ中で一番面白い」と言っていたりもするしな。まあ感想は様々だし、尾内さんが満足なら俺としては問題ない。さておき物語は、2&3のアナザストーリーとして展開し、セックスレスカップルがアキバ帝国とアマゾン避難所に別々に保護される。エログロ漫画家である夫の描く漫画でアキバ帝国民は癒され、男女の最終決戦は起こらず、何かと規制の対象になるエログロメディアこそが癒しの力を持つという虚構への期待と希望が語られる。正伝完結篇でのタイムリープの繰り返しが生んだパラレルワールドではないかと深読みしてくださった観客もいたようだが、特にそういう意図はない。惹句は「ヤリたがるのは男の罪、ヤラせないのは女の罪」。これは「虹とスニーカーの頃」の替え歌だったりする。それをヤラせないのは、というわけですな。挿入歌はヒロインを演じた黒木歩がボーカルを務めるKARAふる、主題歌は高校軽音楽部を経て音楽系専門学校を卒業した次男がギタリストを務めるロックバンド・テンペストが担当しているが、相変わらず、劇中ではアリスセイラーの「妄想LOVEで抱きしめて」が流れ、一作目でアリスさんが女性自衛官を演じた射撃訓練場面も、ニュース映像として使っている。
●「本当はエログロいイソップ寓話 兎と亀と、金・銀・鉄の包丁 シザーチンP・予告編」5分(2017年)自主
出演/範田紗々 八ッ橋さい子 しじみ 嶺生まや 美村伊吹 黒木歩 山村茜 川崎紀里恵 はやしれん
親父の五十歳の誕生日にお袋が買ってきたケーキを家族で食っていて、その席でいきなり親父が所信表明というか今後の人生展望を語りだした。高校生だった俺は何を血迷ったかと聞き流したので、親父が何を語ったか全然覚えていない。で、俺自身が五十歳になって、どうにも気になり、お袋に電話して聞いてみたのだが、お袋は親父がそんなことを言ったことさえ覚えていなかった。まあ、何を語ったにせよ、親父はその数年後に癌を発症して十年の闘病生活の末に死んだので、所信表明が実行されることはなかったと思われる。さておき、Vシネマ市場はますます縮小し、売り上げから逆算される製作費はすでにどこのメーカーも百万円前後まで下がっている。レンタル市場自体がとっくに斜陽であり、ツタヤも全国的に続々閉店しているらしい。もう誰もレンタルなどせず、もちろんDVDも買わない。映像配信が中心になりつつあり、こちらの市場は薄利多売というか古今東西のコンテンツが大量にあり過ぎ、単価が安くなり過ぎて、よほどみんなが観るヒット作以外は商売にならないらしい。エロ映画は受けず、特にエログロナンセンスは受けない。エロとグロの相性はもともと悪く、エロ映画のホラー要素は抜けなくなると敬遠され、血が出たら即CS局に売れなくなる。アルバトロスは孤軍奮闘でハードなバイオレンスエロスをセル&レンタルに特化して作り続けているが、それにしても実際に起こりそうな犯罪(地に足着いた?)ものが受け、SFやホラーなどぶっ飛んだ設定は嫌われる。つまり売れない。赤字になる。俺作品で言えば「監獄病棟」はぎりぎり利益になったが「未来世紀アマゾネス」は残念な結果であったようだ。他のメーカーはさらにその傾向が強く、社員プロデューサーと話していても、「エッチな大人の女性の青春ものとかどうですか」みたいな話になる。いや、それも悪くないんだけどね。プロに徹してお仕事してもいいんですけどね。百万円製作費でそれをやってもいくらのギャラにもならない。つまり仕事として成立しないわけで。だったらもう仕事はやめてしまって自主制作に立ち返るべきではないか。とばかりに鋭意製作中の本作「シザーチンP」は、出資者を募っての自主制作である。「いちは(仮)」や「恋愛死体」も同じく自主制作であったが、百万円前後であった前二作より今回は目標製作費を上げて二百五十万円とした。参加女優のファンを中心に、ありがたくも物好きなみなさまからのカンパ金でほぼ満額が集まり、11月2日の撮影でクランクアップ、その後編集・仕上げ作業となる。五十にしていまだ天命は知れず、死ぬまでにあと何本撮れるかも知れない俺友松だが、仕事と創作の区別とか、セックスと恋愛の区別とか、青臭い議論はさておくも、ええと、つまり若い頃はヤラせてくれるならどんな女でもヤッただろうが、五十にもなればヤレるからと言って誰彼かまわずヤッたりはしないし、ゴムつけろとか言われたら即中断する。中折れの危機という実情はともかく、膣外射精さえ馬鹿らしい。つまり、撮らせてもらえるからと言って、どんな内容でも監督したいとは思わない、という話なわけだが、死ぬまでにあと何回セックスできるかのカウントダウンがはじまっているのだから、ヤルべき女、ヤリたい女とだけ、どっぷり中出しでヤろうではないか。ええと、つまり、撮りたい作品を撮らなきゃ、意味がなかろう、ということが言いたいわけね。完成をご期待いただこう。本作でもKARAふるとテンペストにコラボで主題歌を演奏させ、次男にはイケメンギタリストの本人役で出演もさせつつ、アリスセイラーの「妄想LOVEで抱きしめて」を地下アイドルのステージ場面として撮影した。今回のイベントでは、本作で地下アイドル役を演じた八ッ橋さい子をゲストに迎えてアリスセイラーとともに歌ってもらう。こちらもご期待いただけるはずだ。









