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もう


寝たはずの母が起きてきた。





それはまるで、


我が子が泣いていることは見てなくてもわかるのよ、


とでも言いたげな母親の勘のようだったけど、





わたしにとっては


どうしても見られたくない光景だった。





こんな姿を見られたらヤバイ!


そう思ったわたしは


慌てふためきながら涙を急いで拭いたけど、





本当は泣いている姿を見られた方が良かったのかもしれないと


今になって、わたしは思う。





そうしたら


「どうしたの?」って母は


言ってくれたかもしれない





泣いているわたしに寄り添って、


わたしが言いたかったすべてを母に打ち明けることができたのかもしれない。





宮崎から帰ってきたわたしのために


温かいご飯も


温かいベッドも用意してくれて


本当にうれしかったけど・・・、





ホントはわたし、


ママと話がしたかった。





上辺だけの会話じゃない・・・、


心と心の会話がしたかった。





ママはそのことに・・・、


気づいてた?





何も言えなかったわたしは、


逃げていたのかもしれないね。





でも、


今回だけは、自分の気持ちを優先させたかった。





いつもなら、


母の笑顔が見たくて


母の機嫌を取りたくて


自分を作ってでも元気に振る舞っていたはずのわたしも、


今回ばかりは、泣いている心を大切にしたかった。





自分を作って笑顔を振りまくわたしより、


心が泣いているそのままのわたしでいよう・・・





それは小さいことかもしれないけれど、


わたしにとっては大切すぎる、


自分自身との約束だったんだ。









翌朝、バス停まで送ってくれた母と


たわいもない会話で盛り上がり、


「またね」と笑顔で手を振ったのは


朝の9:00頃のこと。





羽田から宮崎へと帰る飛行機の中、


本当にこれで良かったのかと考えながら


いつものノートを広げたら・・・、


自然と涙が溢れでた。





わたしはいつも、


無意識のうちに


母が喜ぶ顔を見るための行動を取ってきた。





だから、母を喜ばせるために


バカ笑いして、楽しませることだってできたはず。


でも、そんな女優みたいなことをして


自分を粗末にあつかうことをわたしは辞めたかった。





母を喜ばせるために生きてきたわたしにとって


母の気持ちを無視することは


大変なことだけど・・・





それでも、そこまでしてでも・・・、


わたしは自分自身の心を大切にしたいと思ってた。





だから、今回だけは許してね。


次に会ったとき、ちゃんと話をするからね。





そんなことを思いながら涙を拭いたとき、


そのハンカチからは


ママが使う柔軟剤の匂いがプンプンしたよ。





洗濯してくれてありがとう。


温かいお風呂も毎日ホントにありがとう。





でもね、ママは気づいてた?





わたし・・・


ホントはママと・・・


ゆっくり話がしたかった。



nina*