知人がツイッターでリツイートされていた記事を拝見したら、
恥ずかしながら、私も全く考えが及んでいなかった論点について、
東京大学准教授である池内恵氏が痛快に論じられていて、
内容が非常に分かり易かったので、紹介させて頂きます。

「イスラーム国」は日本の支援が「非軍事的」であることを明確に認識している
池内恵氏 2015年2月3日 1:54配信
http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-270.html
2015年2月3日アクセス 


上のリンクからお読み頂ければご理解頂けるとは思いますが、
まさにブログタイトルが論点の全てであり、
マスコミが全く触れてこなかった点です。

つまり、安倍首相の2億ドルの支援の中身を、
非軍事的支援であると「イスラーム国」は把握した上で、
日本をジハードの対象とする、と宣言したこと
です。
これは「イスラーム国」というものを理解するにあたって、
また今回の事件から発した様々な論点を整理するにあたって、
認識しておくべき重要な事項だと思います。

さて、昨今の一部政治家、メディア、評論家の方々が、
①2ドルの支援があたかも軍事支援であるかの様に言い、
②2億ドル支援表明がイスラム国を刺激して人質が殺害された、
③安倍政権のせいで日本人がテロの標的にされた、

と主張されていることを見かけます。

に関しては、上記のブログから明確に否定されるべき事項です。
池内氏も、文の中で痛烈に批判していますが、
一部メディアや論客が作った「雰囲気」に流されて、
2億ドル支援の内容があたかも軍事的支援と思い込んで、
色々と論じられている方がいらっしゃいますね。

念頭に「安倍政権の批判」という至上命題があるせいで、
批判のための批判に陥ってしまっているのではないでしょうか。

に関しては、結果論として、否定できない部分もあると思います。
日本政府は、国民の生命・財産を守ることにありますから、
今回はそのことを達成出来なかったという点で、責任はあるでしょう。

野党は、結果責任に執着するのではなく、
解放プロセスの検証、今後想定されるテロなどに対する対処策等、
建設的な議論を国会で行って頂きたいと思います。

邦人殺害、首相に結果責任 
時事通信 2015年2月3日15時29分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150203-00000077-jij-pol
2015年2月3日アクセス


に関しては、誰かに責任を押し付けずには、
生きてられない方の妄言と思ってしまいます。
(もちろん、テロの脅威という不安は理解できますが。)
Yahooのトップにあったので、リンクを貼っておきます。

「安倍首相のせいで日本人がテロの標的に」ジャーナリストの指摘に疑問、反論が噴出
J-CASTニュース 2015年2月2日19時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150202-00000006-jct-soci
2015年2月3日アクセス


日本人だけは、日本国内外では「絶対安全」ということは、
今までも、そしてこれからも、絶対有りません。
勿論、日本政府は、国民の安全を確保するために最善の努力をするでしょう。

先ほども書きましたが、今回の支援も、中東の安定を促すための支援です。
そもそも2013年にも、日本は22億ドルの支援を行なっているのですが、
湯川氏、後藤氏の日本人誘拐は、その件が直接的要因でされたものではないでしょう。

中東支援に22億ドル拠出=安保対話を推進ー安部首相表明
時事通信 2013年5月1日17時22分配信
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6078260
2015年2月3日アクセス


つまり、今回の人質事件は、支援表明をする前にすでに起こっており、
今までも、日本人はテロの脅威にさらされていた訳です。
また、に関して、テロ組織の要求通りにしていればそれでいいのか、
本当にそれで日本人は安全なのか、という反論もあります。

どうも、今回の一連の「イスラーム国」の件に託けて、
政権批判したいだけの方々がいらっしゃるようです。
批判することは簡単ですが、
批判することで不安が解消することはないでしょう。

原発安全神話が崩壊した際、あれほど批判していたのに、
どうして、日本の安全保障神話は未だ盲目的に信じているのでしょう。

日本は安全ではない、という当然の事実をきちんと受け止め、
国際社会の中で、テロにどう立ち向かっていくべきかを議論することが、
日本人にとって大切なことではないでしょうか。