前回のブログの続きとして書いていこうと思います。
敬老祝金事業は一種のばら撒きと見ることもできますが、
戦前・戦後を支え、今の日本を作って下さった世代の方々ですから、
敬老と長寿を祝福をする目的として事業を行うことの意義はあります。
しかし、”祝金としてお金を支給する”ことが、敬老の祝いの本義だとは思いません。

昨今の苦しい財政事情、平均寿命の上昇、
逆ピラミッド型の人口構造、世代間格差を考えれば、
時流に沿って、廃止を含めて事業を見直していくことが必要です。


一般質問原稿~敬老祝金~


敬老祝金事業については、下記の小項目で質問しました。
(1)地域通貨ぼたん圓で支給される77歳の祝金について
(2)今後の見通しについて


それぞれについて、2回に分けて説明していきたいと思います。



(1)地域通貨ぼたん圓で支給される77歳の祝金について
ここでは、2つの論点を挙げて質問をしました。
①祝金で支給された未使用分のぼたん圓のお金の流れ
敬老と地域振興のバランス


では、祝金で支給されたぼたん圓の使用率は96.1%となっており、
残りの3.9%のぼたん圓の処理の仕方を質しました。

3.9%は金額にすると約32万円ちょっとで、
270億を超える一般会計予算額からみれば小額と言えるかもしれませんが、
これも市民の貴重な税金ですから、1円たりとも無駄にしてはいけません。

結論から言えば、これは実質的に商工会の利益となっていました。
しかし本来この32万円は、
敬老祝金として市民(77歳の方々)に分配されるはずのお金です。


行政からも、商工会に未使用分の返金
お願いしたとのことですが、
商工会から返金は難しいと言われ、引き下がってしまったみたいです。
担当課の話では、発行には印刷費等もかかるので…と言われたとのこと。
商工会の方の気持ちは分かりますが、これはおかしい話なのです。

まず、東松山地域通貨(共通商品券)発行事業約款には、
未使用分の返金の可否については書かれておりません。(平成26年3月16日現在)
また、民間事業者発行の商品券でしたら上記の言い分は分かりますが、
商工会はそもそも「営利を目的としない」という基本原則があります。
さらに、東松山市から商工会には、商工業振興対策事業補助金として、
商工会が行うぼたん圓発行事業に補助
までしています。

制度的欠陥とも捉えることは出来ますが、
きちんと商工会と協議を行うとの答弁を頂きましたので、
今後の推移を見守りたいと思います。



②(
敬老と地域振興のバランス)については、
私はこの2つのバランスを取ることは非常に難しいと思っています。

ぼたん圓は、使用できる店舗が現在291店舗となっており、
使えるお店が極端に限られる上、必ずしも欲しい物に使えるとは限りません。
また、ぼたん圓の有効期限が半年となっており、
半年で1万円を使用するにはけっこう無理する必要があります。
実際に「お店が少ない」「使用期間が短い」との不満の声も届いているようです。
それが
「敬老」と「長寿のお祝い」を目的とする敬老祝金事業として、
相応しい在り方なのか、疑問が残ります。

また、地域振興という大義名分ではありますが、
ぼたん圓の恩恵に預かれるのは商工会に加入している291店舗のみですから、
未加盟店との間に不平等が生じないか、という見方もできます。

こういった問題点を指摘した上で、制度変更の提案を致しました。
根本的な解決方法は「加入店を増やす」「有効期限を伸ばす」ことですが、
前払い式証票の規制等に関する法律によって、
有効期限は6ヶ月との制約があるらしく(※)、
また、加入店を増やすことは商工会の責務です。

どういった提案かというと、現金とプレミア付きぼたん圓の選択性です。
現金では1万円、プレミア付きぼたん圓11000円分を提示し、
77歳のご高齢者の方々に個人の自由で選んで頂くという方式です。

プレミア付きぼたん圓というのは、
1万円で11000円分の商品券を購入出来る、
大変お得なチケットです。

この制度のメリットは、行政の財政的な負担は同じ1万円であり、
また、ご年配の意志で現金かぼたん圓かを、
自由に選ぶことが出来るという点です。
あまり外出が出来ないという方には現金を選んで頂き、
地域貢献したいという方にはぼたん圓を選んで頂けます。
こうすれば、地域振興と敬老を担保できると考えた訳です。

しかし、この制度の根幹的な部分であるプレミア付きぼたん圓が、
実際はまだ発売されていない、というのが欠点です。
予め、前提条件が仮定で申し訳ないですが…
ということを断って提案をさせて頂きました。

ただ、森田市長も以前、ブログでプレミア付き商品券の必要性を書かれていたので、
今後、発行することはあり得る
と思っておりますし、
敬老祝金と関係なく、ぼたん圓の流通量を増やす上でも、
このプレミア付き商品券の施策は大切であると思っています。

行政の答弁は難しいという回答ではありましたが、
今後のこの事業の制度設計を変えるときには、
ぜひ今回の提案を考えて頂きたいと思っています。

まだ、上記の①・②の2つの問題がある限り、
この事業は未完成であると思います。
今後も、しっかりと見ていきたいと思います。

次回は、(2)今後の見通しについてについて書きます。


※参考文献
和歌山社会経済研究所
「地域通貨によるコミュニティ再生」
http://www.wsk.or.jp/work/b/h14-b-01/04.html
2014年3月16日アクセス

前払い式証票の規制等に関する法律
http://www.houko.com/00/01/H01/092.HTM
2014年3月16日アクセス