「メキシコ人は犯罪者だ」から始まったのか、それとも、「イスラム教徒の入国禁止を」から始まったのか、過激すぎるトランプ発言は。過激発言で病めるアメリカの心をつかんだアメリカの大統領線の共和党候補者争いの主役となったトランプ氏支持へのうねりはトランプ現象と表現すると、そのトランプ現象は一時的でしかないとたかをくくっていた共和党中枢の予想は裏切られ、トランプ現象は共和党の枠も超えたかのようにさえ見える。それは病めるアメリカの現実だと宣言したい。



 建国以来戦争を繰り返す戦争国家アメリカだ。キリスト教世界の試験国家ともいわれるが、清教徒が理想郷をつくるために渡ったのが始まりでとか、アメリカの建国の歴史とかは語るつもりはないが、アメリカは病める巨大国家だから、その大統領選挙は世界の注目を集めるのは当然である。何しろ世界の警察を自認する犯罪国家でもあるから厄介だ。そんな思いになるの私だけではあるまい。日米安全保障条約の下日本の戦後社会を思うように牛耳る国でもあるアメリカである。日米安保でアメリカの核の傘に守られたと誤解する戦後70年の日本の安全保障だから、いまだに日本には多くの米軍基地がある。そのアメリカの大統領選挙であるから日本人が関心を持つのも当然だが、それにしてもと思うのは、そんな低次元の大統領選候補者選びだという思いだ。


 民主党は、まあ、オーソドックスな候補者選びと言えないこともないが、でも、民主党も一応は波乱的要素を示して、クルーズ旋風も吹き荒れるが、結局はヒラリークリントン候補となるだろう。それは予想通りの結果であるから、そのまま候補者選びが進めば、クリントンとトランプの争いとなり、結

局はヒラリー・クリントンがアメリカ初の女性大統領になると思うのが一般的な予想だ。初の黒人系大統領の次は初の女性大統領誕生である。自由と平等を標ぼうする民主主義国家アメリカ合衆国は世界のリーダーとして君臨すると、大方の予想通りとなる。


 でも、8年前のバラク・オバマとヒラリー・クリントンの争いを思い出すと、ヒラリーに不幸の風が吹かないとも限らない。それはクルーズ旋風がオバマ的な大逆転劇へと変わった時であるが、クルーズ旋風には、そんな底力は感じられない。個人的な見解ではあるが、大方の予想もそうだろうと確信する。


 そして、共和党ドナルド・トランプ候補と、民主党ヒラリー・クリントンの大統領選挙となると思うが、問題は共和党の内部での反トランプの動きだ。過激すぎる発言は弱いアメリカに失望する強いアメリカを求める一部の白人層からは熱烈に支持されるが、アメリカの建国精神を否定するかのような発言はアメリカ大統領として相応しいかどうかの判断を共和党はしなければならないから、トランプの人気が続いても、7月の共和党大会へ向けての、反トランプ陣営の巻き返しのためのなりふり構わない巧妙な策が打たれるかも知れない。予断は許さないというのが大方の見方か。



 現在のトランプ現象は、大統領選候補者選びの一般的な見解を否定する要素も多い。過激すぎる発言は、ある意味アメリカの病巣を世界に向けて表明しているかのようなものだから、ついに現役の大統領が批判するまでになった。

「トランプ氏は外交も世界情勢も分かっていない」
 オバマ米大統領はエイプリルフールの日に発言した。


 それは、日本の安全保障や、また、核武装を進める発言に対しての批判で、大統領にふさわしくないとまで言っ

たのだ。


 現役の大統領が候補者選びの段階で最も支持される候補者に対しての批判などあるわけがないのだが、それがあったのである。


 さて、共和党はどうするのかと、無関係な日本の平和ボケ

の人間でも考える。



 私は、もしトランプ候補が勝利して候補者となり、11月の大統領選挙でも勝利した時のことを想像する。



 日米安全保障など必要ないとか、日本の安全保障のためにアメリカが軍事力を投入することはしないとばかりに、日米安全保障条約を見直し、日本の負担を増やして、地域住民の反対を押し切ってまでの辺野古沖の新基地建設など必要ないと宣言したり、また、世界で最も危険な市街地の基地普天間飛行場も、廃屋同然で使えない基地などいらないとばかりに全面撤回を表明すると思ったり、また、廃屋同然の普天間飛行場の代わりに、普天間飛行場の機能を補うことのできる数の航空母艦建造を日本政府に求めたりするかもしれないと、空想が進むが、日本の核武装論まで飛び出す奇抜さで、辺野古の基地問題など、いらないの一言で解決するかもしれないと空想はガラガラと展開する。



 まだまだ、先の見えないアメリカ大統領選挙の候補者選びである。トランプには、頑張ってほしいし、いい加減にしてほしいし、平和ボケ的人間は複雑な思いだ。