今回は、特別に秘蔵(?)の短冊を使用してみました~。


たま~に行く池袋の紙屋“紙のたかむら”さんで思わず購入したけど、使い途を思いつかず放置してあったものです。練習用なので、たいへんお手ごろ価格でございます音譜 中はいろいろな色の短冊が10枚綴りで263円(税込み)。たかむらさんも、消費税が上がる前にもう一度行っておかなければ(笑)


短冊



で、こんなふうに書いてみましたよ~。【下写真】


いつものかな用練習用紙「ゆき」とちがって、厚いし筆がすべって墨がのってくれません(゚ー゚; 半紙より縦が長いからかぐにゃぐにゃ曲がるし(涙) そして、2首をバラバラなタイミングで書いたため、字の位置(書き始め・書き終わり)や大きさなど、ぜんぜんちがうしー!(笑)


というわけで、ずらして配置↓↓↓してみましたぁ(;^_^A


七、碧玉


まあ、たまにはちがう素材に書いてみるのもおもしろいもんですね。

紙がキレイだと気持ちも上がるしアップねっ☆


あっ、ちなみに古筆自体は、いつものように改行があります(短冊なので、一行にまとめています)。本来の改行位置は、一首目が「紙」と「数」のあいだ、二首目が「湘」と「浪」のあいだ、つまりともに最後の3字だけが二行目に書かれています。



(向かって右の漢詩から順に)


碧玉装筝斜立柱青苔色紙数行書


雲衣范叔羈中贈風櫓瀟湘浪上舟



【巻上 秋・雁】


 碧玉の装ひせる筝の斜めに立てたる柱(ことぢ) 青苔の色の紙の数行の書  菅


 雲衣は范叔(はんしゅく)が羈中の贈(おくりもの) 風櫓は瀟湘の浪上の舟  後中書王



 ◇訳:

  ・気持ちよく晴れた秋の空を雁の列が飛んでゆく姿は、まるで碧玉で装飾をほどこした筝の琴のうえに斜めに琴柱が点々と並ぶ形、または青苔でつくった色紙に書き流した数行の葦手書きの(漢字を絵画化した)文字の姿のようです。

  ・秋天の白雲のあいだを飛びゆく雁の列よ、かの范叔への旅先での贈り物のように、おまえのために雲の衣を贈りましょう。秋風の吹く江上を渡る雁たちよ、かの屈原へ響かせたように、おまえの鳴き声は櫓声のように響いています。

   

 ◇参考:

  ・「青苔」(せいたい)…海苔で作った紙、青緑色である。/作者は菅原道真。

  ・「范叔」…『史記』范睢列伝より。叔は字(あざな)。昔なじみの魏の大夫・須賈から旅先の秦で衣を贈られた。「羈中」…旅先。「風櫓」…風に響く櫓の音。雁の声は櫓の音に似ているという。「浪上舟」…『楚辞』より。屈原(くつげん)が放たれたとき、なじみの漁夫が舟を漕ぎ寄せて櫓声を響かせた。/作者は具平親王。




[参考文献:川口久雄『和漢朗詠集 全訳注』講談社、1995年<21刷>]