年を取ると、お金を使わなくなる傾向にあります。

 

実際、相続のお手伝いをしていると、多額の現金預金を相続財産として計上しなければいけなくなることが良くあります。

特に最近は、基礎控除の減少により、相続税の申告が必要な方も増えており、預金の残高等を拝見する機会も多いのですが、5,000万円以上の現金預金を残して、あの世に旅立たれる方も多いように思います。

もちろん、残された相続人の方にしてみれば、多額の現金預金を残してくれるに越したことはありませんが、それが揉め事に発展することも散見されます。

特に二次相続の際(父親の後に母親が亡くなり、子供が相続人となる場合)に相続人どおしで諍いになることもあります。

 

そこで、実際に生前に使うべきお金を使っておくと、どのような効果があるか、検討してみたいと思います。

 

① 相続財産の減少を通じて、節税対策となる。

・生前に墓地や墓石の購入をする

 墓地や墓石は特殊なものでない限り、相続税の対象にはなりません。

・土地の測量をしておく

 隣地との境界が確定していない場合には、生前、お互いに近隣の方々を見知っている間に確定しておくべきです。その後、世代が変わり、住民が変わった場合に揉め事に発展する可能性があります。

・空き家になりそうな古家など壊すべきものは壊しておく。

 自分が長年住んでいた家なので、愛着があるかもしれませんが、現在、生活の本拠を移していた場合には、生前に壊しておいた方が良いでしょう。その後、空家になった場合に放火などに遭う可能性もございます。

・生前の対策ではございませんが、故人を悼んで、葬式は盛大にやる。

 葬式費用は、相続財産から控除され、相続財産の減少につながります。

 

② 生前の贈与等を通じて、相続人どおしが揉めることを事前に回避しておく。

・特定の相続人には、生前に財産の贈与をし、「遺留分の生前放棄」をしてもらう。確認書をとっておいてもらうのが良いでしょう。

事業(株式)を特定の相続人に承継させたいときには有効となります。

なお、遺留分とは一定の相続人に保証された財産を相続する権利を言います。