「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例」の適用を受ける場合に、床面積が50㎡以上240㎡未満でなければならないという要件があります。

 

では、店舗併用住宅の場合、居住用家屋部分の床面積で判定するのでしょうか?

それとも、店舗も含めた家屋全体の床面積で判定するのでしょうか?

我々にとっても非常に悩ましい問題ですが、ここは全体の床面積で判定することとなります。

 

◆直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例

直系尊属からの贈与により一定の住宅用家屋の新築等に充てるための金銭の取得をした一定の受贈者(贈与を受けた方)が、住宅用家屋の新築等についてそれぞれ一定の要件を満たすときは、その贈与により取得した住宅取得等資金のうち1,000万円までの金額については、贈与税の課税価額に算入しない(平成28年以後の非課税限度額については、金額が減額されることとなっております)。

 

◆住宅用家屋の要件

この非課税特例制度の対象となる住宅用家屋とは、受贈者の居住の用に供する家屋で、次の要件を満たすものをいう。

(1) その家屋の床面積の2分の1に相当する部分が、専ら居住の用に供されるものであること

(2) 国内にあること

(3) 次のいずれかの要件を満たすものであること

① 1棟の家屋で床面積が50㎡以上240㎡以下であること

② 区分所有家屋である場合には、受贈者が区分所有する部分の床面積が50㎡以上240㎡以下であること

 

この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50㎡以上240㎡未満でなければならないという基準が設けられていて、床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行わなければなりません。

 

ちなみにこの特例を受ける予定で、店舗のレイアウト等の相談を受け、居住用部分の床面積が240㎡を超えないように指示をしてきた税理士が損害賠償請求を受けたという事例もあります。

当初、平成27年分の贈与税について、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例」の適用をして申告していましたが、床面積要件を満たしていなかったことにより、暦年課税で修正申告することになってしまいました。

この結果、過大納付となった贈与税額につき損害賠償請求を受けたという内容です。

 

十分、注意したいところです。