既に11月に入り、本年もあと2月で終了です。

年末までもう僅かということで、本年最後の大仕事(年末調整等)の準備をそろそろ始めていこうかと思っている次第です。

そこで、本年の改正点を中心にどんなことが昨年と変更になったのかを確認しがてら、「年末調整のご案内」を作成しているところです。

 

変更点の主なものとしては、

【1】 マイナンバー制度に伴う記載様式の変更

【2】 通勤手当の非課税限度額の引上げ

【3】 給与所得控除額の引下げ

【4】 国外居住親族を扶養控除等の対象とする場合

となります。

 

【1】 マイナンバー制度に伴う記載様式の変更

平成28年分の源泉徴収票や支払調書には、マイナンバー制度の導入に伴い、支払を受ける方やその扶養親族となる方などの個人番号及び支払者である法人番号や個人番号を記載する欄が新たに設けられています。

更に翌1月末までに、税務署に提出する源泉徴収票と支払調書及び市区町村に提出する給与支払報告書には、支払を受ける者やその扶養親族となる方などの個人番号と支払者の法人番号又は個人番号を記載します。

ただ、給与の受給者用の源泉徴収票と支払を受ける者に交付する支払調書には、個人番号と法人番号の記載をしないこととされております。

つまり、本人に渡す源泉徴収票や支払調書には、個人番号と法人番号を記載しないということです。うっかり無くしてしまった場合等を想定しての措置かと思われます。

なお、平成28年分の給与所得の源泉徴収票は、サイズがA6版(横)からA5版(縦)になり、大きめのサイズとなります。(私事ですが、昨年、少し多くA6版(横)を発注してしまった関係から、在庫を多く抱え込んでしまっております。)

 

【2】 通勤手当の非課税限度額の引上げ

平成28年度の税制改正により、通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円に引き上げられました。

ただ、本年1月1日から3月31日までの間に支払われた通勤手当については、改正前の規定に基づいて源泉徴収が行われています。

本改正は、平成28年1月1日に遡って適用されるため、これに伴い、新たに非課税となる通勤手当のある従業員等については、年末調整で給与の総支給金額を調整し、非課税分の控除をする必要があることとなります。

具体的には、

① 1月~3月分の支払額のうち、改正によって新たに非課税となった金額を計算します。

② 源泉徴収簿にその金額とともに、計算根拠を記載します。

③ 年末調整の際に、この金額を給与等の総支給金額の合計額から控除した結果を基に、年末調整を行います。

ただ、10万円以上の通勤手当を頂いている方の数は極めて少ないものと思われます。

 

【3】 給与所得控除額の引下げ

平成26年度税制改正により、平成28年分の所得税から、給与所得控除額が段階的に引き下げられることとなりました。

平成28年分の所得税については、給与等の収入金額1,200万円超に適用される230万円が上限となります。

ちなみに、平成25年分~27年分については、給与等の収入金額1,500万円超に適用される245万円が上限とされておりました。

高額所得者に対する課税の強化の一環です。

 

【4】 国外居住親族を扶養控除等の対象とする場合

平成28年分以後の所得税と平成29年度分以後の個人住民税について、国外に居住する親族を扶養控除等の対象とする場合には、「親族関係書類」と「送金関係書類」を「給与所得者の扶養控除等申告書」や「給与所得者の配偶者特別控除申告書」に添付又は提示することが必要となりました。

「親族関係書類」は、給与所得者の扶養控除等申告書等を提出するときに添付又は提示することとなっているため、年末調整においては、「送金関係書類」の添付又は提示を受けることが必要とされます。