歌舞伎町編~最終章 「御世話になりました」
今日言おうって朝めざめて、決めた
なんて言うかは、一日かけて考えよう
飛ぶ鳥跡を濁したくない
しかし、どんな理由にしろ今日の今日でやめるのだから、迷惑は掛るだろう。
でも、人を騙すような仕事はしたくない。
もちろん下っ端の俺の代わりなんて誰でもいいのだ。
自分のステップアップのために、未来がありそうにない店はやめることにした。
理由を考えながらの仕事、日曜日なのに暇だった。
最後くらい、忙しければ時間がたつのが早いのに・・・
仕事が終わり、店長が帰ろうとするので呼び止めた。
「店長、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「話があります」
「やめたいんですけど」
「どうした?」
「接客がつらくて・・・」
こういうシステムの接客が、自分には合わないのでとにかくやめさせてほしいと告げた。
店長も本当はこんなやり方は、嫌いだが仕方がないことなど、本音で話せてよかった。
しかし、この店のシステムが変わることはないだろう。
1時間くらい話しただろう。
「わかった。元気でな」
「御世話になりました」
荷物をすばやくまとめ、店をあとにした。
歌舞伎町に来て3か月。
歌舞伎町に来て初めて、サウナに泊まる。
歌舞伎町に来て初めて、ぐっすりと眠った。