【番外編】航空科学博物館訪問 その4 の続きです。



いよいよ「セクション41」の機内へと案内されます。
機体右側には、ファーストクラス用の座席が残されていますので、まずはそこに着席するよう指示されます。

機体左側は、前方から「内装あり」「断熱材・ダクト類あり」「構造材と外販」の順で、側壁の構造が分かるようになっています。

その後、学芸員さんから、この機体が元ノースウエスト航空の機体であること、着席している座席が、ノースウエスト時代に実際に使用されていたものであることが説明されます。

続いて、天板がはがされた状態の1階部分天井裏が紹介されます。



天井裏を見上げた状態です。写真下側が機体前方となります。天井裏を縦横無尽に走るケーブルが、操縦用のコントロールケーブルです。

私はこのことは知っていましたが、実際に目の当たりにしてみると、あまりの雑然さに新たな驚きを覚えました。もっとも、このケーブルが原因で墜落事故に至ったという話は聞きませんので、その安全性はB747の50年以上の歴史が証明しています。それにしても、この原理自体は、人類初の動力フライトに成功したライト兄弟の時代そのままです。

このケーブルの前方は、操縦桿やラダーペダルなどに連結されており、反対側は、そのまま機体の天井裏を走り、エルロン、ラダーなどの動翼を動かす油圧アクチュエーターを作動させるバルブに繋がっています。

おそらく最も長いものは、ラダー(垂直尾翼にある動翼)用のケーブルだと思われますが、70mはあるはずです。パイロットは、時にミリ単位で操縦桿などの操作を行うはずですが、その感覚をこのようなケーブルが伝えていたとは!

現在主流の「フライ・バイ・ワイヤ(電気信号で操作指示情報を伝達するシステム)」が登場したのは、ボーイング製旅客機では1994年に初飛行した777型が最初です。その少し前にデビューした747-400型は、政府専用機をはじめ、日本でも数多く使用されましたが、操縦系統にはケーブルが使用されていたはずです。

航空機というものは「最先端かつハイテク」のような印象を持たれがちですが、意外と保守的なものです。一般に機械ものに新しい技術を採用すると「初期故障」というものが頻発しますが、故障発生の最悪の結果が「墜落」である航空機は、なかなか冒険的なことはやりづらいのでしょう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。次回は「床下」についての説明場面です。